公開講演会・公開講座
脈は健康のバロメーター(講演概要)
2017年12月9日(土)開催:杏林大学公開講演会
医学部循環器内科 臨床教授 副島京子
○講演概要
心臓は1日約10万回拍動して全身に血液を循環させています。心臓は上の部屋(心房)と下の部屋(心室)からなります。
さらに左右の部屋があり、それぞれ右房、右室、左房、左室と呼ばれます。右房と右室は全身から汚れた血液を受け取り肺に送り酸素化をします。その血液は左房に戻り左室を経て全身に送り出されます。血液を有効に送り出すために規則正しく心房と心室が同期して収縮を繰り返します。心房細動という不整脈では、心房が非常に細かく振動し、バラバラに心室に伝わります。
その結果、心房と心室が同期できなくなるため、十分な血液を送り出せず、血液の流れが滞留して血の塊(血栓)ができることがあります。
この血栓が頭の血管に詰まると脳梗塞を生じます。
心房細動は必ずしも自覚症状を伴わず、症状の有無だけで診断することはできません。
定期的に自分で検脈をすることで脈の不整から疑い、発見することが可能です。検脈は簡単に、いつでもどこでもできます。この講座で是非、自己検脈の方法を習得していただければ幸いです。
心房細動の治療としては、1)抗凝固療法(血液を固まりにくくして脳梗塞の原因となる血栓を予防する)、2)抗不整脈治療(抗不整脈薬の内服、カテーテル治療)があげられます。心房細動を早期に発見し治療を受けることにより、脳梗塞のリスクを回避していただきたいと思います。