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「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」4大学合同シンポジウムを開催

 本学は東京女子医科大学、帝京大学、駒澤大学と共同で、文部科学省の24年度プロジェクト「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」に「都市型がん医療連携を担う人材の実践的教育プログラム」を申請し、採択されました。
 急速に高齢化が進行し急性期から在宅医療までの地域のがん医療連携の重要性が高まる中、東京都におけるがん診療のあり方を考えようと、4大学が事業推進の一環として、3月29日(土)、一般市民を対象に合同でシンポジウムを開き、会場の杏林大学三鷹キャンパス大学院講堂には医療関係者も含め113人が参加しました。

4大学合同シンポジウム

4大学合同シンポジウム

第1部司会の古瀬純司教授

第1部司会の古瀬純司教授

 シンポジウムでは第1部として「難治がんの治療戦略」をテーマに、本学医学部腫瘍内科学の古瀬純司教授の司会のもと3人の専門医が報告しました。この中で本学医学部消化器・一般外科の正木忠彦教授は、食道がん・すい臓がん・大腸がんの生存率の推移を示しながら、「消化器がんは手術と抗がん剤の適切な投与などにより治療成績が向上している。これらの難治がんも放射線治療なども含めた集学的治療や多職種によるチーム医療で生存期間のさらなる延長や切除不能ながんが切除可能となることなどが期待される」と治療の進歩を報告しました。また、本学医学部呼吸器内科学の横山琢磨助教は、専門の肺がんの抗がん剤治療の歩みについて語り、新薬が次々に登場するとともに遺伝子変異を捉えて患者一人ひとりにあった個別化治療も進み効果を上げるようになってきたと解説しました。帝京大学医学部緩和医療学講座の有賀悦子教授は、がんになっても健康に過ごすことを目的とした緩和ケアについて述べ、がんを告知された時の不安に応えるために診断時から緩和ケアを行う必要があることなど、痛みだけでなく心のケアにも対応することの重要性を指摘しました。

正木忠彦教授

正木忠彦教授

横山琢磨助教

横山琢磨助教

有賀悦子教授

有賀悦子教授

 続く第2部では、帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科の江口研二教授の司会のもと「都市型がん診療の課題と取り組み」をテーマに行われ、最初に都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長が東京都のがん診療の現状を報告した上で、「東京都は世界に誇れるがん医療なのに患者さんの満足度は高くない。今後の超高齢社会でがんによる死は増えるが、認知症などがん以外の疾患も含めての対策と心のケアが大切になっている」と強調しました。

第2部司会の江口研二教授

第2部司会の江口研二教授

 また、駒澤大学医療健康科学研究科の吉川宏起教授は専門の画像診断について語り、病変部のCT画像の読影のポイントをくわしく解説するとともに、初期の画像からの変化を読み取ることの重要性を語りました。最後に東京女子医科大学化学療法・緩和ケア科の林和彦教授が様々な統計を用いて日本のがん政策等について述べ、高度機能病院だけですべてのがん医療を提供することは不可能であり、これからは地域のがん担当病院やかかりつけ医、訪問看護ステーションなど地域がん医療を支える多施設の連携“がん地域包括ケア”が欠かせないと指摘しました。

佐々木常雄名誉院長

佐々木常雄名誉院長

吉川宏起教授

吉川宏起教授

林和彦教授

林和彦教授

 シンポジウムは3時間余りにおよび、参加者たちはメモを取ったりしてがんの最前線の話に熱心に聞き入っていました。


2014.3.31