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ダイバーシティを認め、一歩先の世界へ進む努力をしよう

新入生の皆さん、晴れて、杏林学園の学生となられたことを心よりお喜び申し上げます。
そしてご父母、ご家族など関係者の皆様、お喜びはいかほどかと推察いたします。本当におめでとうございます。
学事報告にありましたように、本年は4学部、付属看護専門学校、大学院3研究科をあわせて1,311名の新入生を迎えました。杏林学園は心より皆さんを歓迎いたします。
本学を希望した受験生は、12,000名を超えています。この中から皆さんは本学に入学されました。そのことに誇りを持ってください。

さて、皆さんをお迎えする本学について、まずお話をしたいと思います。

杏林学園の歴史は、初代理事長である松田進勇先生により、1966年現在の三鷹キャンパスに臨床検査技師を養成する杏林学園短期大学が設立されたことに始まります。1970年には良き臨床医育成を理念とする杏林大学医学部が創設されました。その後八王子キャンパスに保健学部、総合政策学部、外国語学部が相次いで開設されました。さらにこの間、医学研究科、保健学研究科、国際協力研究科の大学院研究科と医学部付属看護専門学校が併設され着実に発展を遂げてまいりました。
規模をみますと新入生の皆さんを含め、在学生5,200名、教員1,031名、職員2,096名の組織となっています。

杏林学園の杏林の意味するところを新入生諸君は知っていますか?これは中国の故事に因んだものです。古く中国の蘆山に董奉という名医がおり、彼は患者から治療代を受け取る代わりに杏の苗を植えてもらいました。そしていつしか広大な杏の林ができたという話です。以来杏林は良医の代名詞となりましたが、本学はそれにちなんだ名称となっています。後で皆さんが歌う校歌にもこのことが示されています。

私学には建学の精神があります。
本学の建学の精神は“真善美の探究を心がけよ”です。真は真実・真理を究めるための謙虚な姿勢を表し、善は健全な倫理観に支えられた善き人間性・人格を備える事、美は他者を尊重し、自己を律する事ができる美しい生き方を意味しています。
私どもは、建学の精神を具体化するために様々な取り組みを行っており、これにより社会が求める人材を育てています。

さて、社会はどのような人材を求めているのでしょうか?そして、その社会とはどのような状況にあるのでしょうか?
私は、現代社会を示すキーワードの一つはダイバーシティ(多様性)であると考えます。ダイバーシティとは幅広く性質の異なるものが存在することを意味しています。個人や集団間に存在するさまざまな違い、すなわち「多様性」を認識し、理解し共有し合うことにより、より人間性を認め合う世界に進もうというものです。
多様性については、比較的容易に分かると思います。皆さんの中で兄弟がいる方は、両親から「同じように育てたのになぜこんなに違うのだろう」と言われたことはありませんか。私は50年ほど前、愛知県から大学に入るため上京しました。そのとき、東京の友人が納豆を食べるのを見て驚きました。同じ日本に住みながら、知らない食べ物を美味しそうに食べる人を見たときの驚きです。そのような比較的小さな違いは日常よく経験しますが、もっと大きなことも少なくありません。本日の入学生にも、中国やベトナムからの留学生がいます。また壇上には、イギリス出身のスノードン副学長、アメリカ出身の坂本外国語学部長がいます。人種、性差、言語、信教の違い、障害の有無など、私達は多様性の社会で生活していることを実感します。

ではわざわざダイバーシティがキーワードとされるのはなぜでしょうか?
実は、今使われているダイバーシティにはもう少し積極的な意味合いがあるのです。すなわち、まずダイバーシティの存在を認め、その社会でどのように個人や組織、団体などが関わっていくのか、価値ある社会をつくりあげていくのかという重要性を示した言葉なのです。多様性があることをただ認識するのでなく、それから一歩先の世界へ進む努力をすること、それがダイバーシティに含まれていると思ってください。

グローバリズムも大いに関係しています。多様性のある世界でどのように生活し、どのように活躍するのか?
私達は文部科学省のプロジェクトである“経済社会を牽引するグローバル人材育成”の大学に選定されています。皆さんはこれから、本学の取り組むグローバル人材育成に触れることになります。
先ほど、ダイバーシティを認識し、理解し共有し合うと言いました。見たり聞いたり、本で読んだり様々な手段がありますが、その中心にあるのはコミュニケーションです。人と人の間で、知覚・感情・思考の伝達が行われ、意志や心・気持ちの通い合いが行われたり、互いに理解し合うことが必要です。
杏林大学には、様々なコミュニケーションに関する教育環境を整えています。八王子キャンパスには英語サロンや中国語サロンがあり、常時英語・中国語での会話が可能です。様々な器具・設備を備えた、アクティブラーニング教室もあります。Face to face教育、学生と教職員の垣根が低い、距離が近いことも特徴です。ですから皆さん、教職員に積極的に話しかけてください。まず会話から始まるのですから。
私は毎年新入生の皆さんと昼食をとりながらお話をする機会を設けています。これも、いま述べましたように、まず皆さんと会話をしたいからです。その昼食の時にまたお会いしましょう。

杏林学園は来年50周年を迎えます。八王子キャンパスから井の頭キャンパスに移転するので、皆さんの多くは一年後には新キャンパスで授業を受けることになります。大変ご迷惑・ご不便をおかけしますが、吉祥寺駅や三鷹駅からも近い井の頭キャンパスはとても素敵なところです。是非期待してください。
新入生の皆さん、杏林学園は皆さんを大歓迎いたします。健康に気をつけて楽しい学園生活をおくってくださることを願ってやみません。


2015年4月5日 平成27年3月入学式 学長式辞より