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【トピックス】 世界の医療団「スマイル作戦」講演会を開催しました

12月10日(金)、世界の医療団日本(メドゥサン・デュ・モンド ジャポン、認定NPO法人)が実施している修復外科手術支援プログラム「スマイル作戦」の講演会が三鷹キャンパスの看護医学教育研究棟1階大講義室で行われました。
講師は、石原恵さん(看護師、同法人の医療ボランティア)と熊野優さん(同法人の広報マネジャー)でした。石原さんは2007年3月に本研究科(国際医療協力専攻)を修了した後、世界の医療団に医療ボランティアとして所属し活躍されています。
講演は、(1)世界の医療団(1980年設立)および世界の医療団日本(1995年設立)の紹介、(2)テレビ番組の録画映像を用いた「スマイル作戦」の紹介、(3)「スマイル作戦」に参加している石原さんの体験報告、という構成でした。

世界の医療団は、治療すべき人々に対する医療支援の活動とその悲惨な状況を証言することを使命とし、総数1,200名の国際ボランティアにより、世界80カ国で年間約360の支援プロジェクトを実施しているそうです。世界の医療団日本は、世界14カ国にある拠点のひとつになります。
「スマイル作戦」は、戦争・病気・火傷・栄養失調などが原因で変形した顔や体を整形し、奇形が原因で社会から疎外されている人々に「ごく普通」の社会生活を取り戻してもらうことを目的としています。

1989年、カンボジアで活動していたボランティアがそのようなニーズに気付き、始められたプログラムです。ボランティアの専門家が年に2回ほど各拠点病院を訪れて手術を行っています。1回のミッションは約1週間で、5−6人の専門家(外科医、麻酔科医、看護師)により50名前後の手術が行われるそうです。世界8カ国で展開されていますが、世界の医療団日本は、カンボジアとバングラディシュでのプログラムを担当しているとのことでした。

石原さんは過去3年間に10回の短期ミッションに参加されました。二つの国で得た豊富な体験をもとに、ミッションが実施される様子が具体的に詳しく報告されました。途上国での活動は、すべてが整った日本での活動と大きく異なり、想定外のことが起こることが日常で、それに適切に対処する力が求められるとのことでした。
また、1回の活動は短期ですが継続的に訪問しているので現地の医療者との信頼関係が深まり、手術室や器具類を清潔に保つための提案も受け入れられ、手術が行われる場の環境改善が進んだそうです。ただ、できるだけ多くの手術を行うことを目指した短期ミッションであるため、多くの人々を救えたことは嬉しいが、病気の背景にある人々の生活を見る機会がほとんど無く、予防対策まで手が回らないのが残念です、ということでした。

聴衆は大学院生(国際医療協力専攻)を中心に15人ほどでしたが、体験に基づく報告はとても説得力がありました。質疑応答も予定時間を大幅に超えて続くなど、たいへん有意義な講演会でした。

杏林大学総合政策学部・大学院国際協力研究科 教授 野山 修


2010.12.17