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カンボジアスタディーツアーボランティア報告

本学の看護学科学生が今年の夏に、カンボジアスタディーツアーに参加し、
7日間かけ現地で様々なボランティア活動を行いました。

参加学生がボランティアで感じたことや、目の当たりにした現実などを
多くの方々に知ってもらいたいと思いますので、ご覧ください。

学生支援課では学生への課外活動情報を提供しております。
詳しくはこちら。


カンボジアスタディーツアーに参加して
保健学部看護学科看護学専攻2年 小川紗月

 私は前々から海外の衛生環境や医療に興味があり、いつか実際に行って自分の目で見てみたいと思っていました。やりたいと思っていたことがいよいよかなうのだという期待と、自分が本当に誰かの役に立てるのかという不安を感じながら日本を発ちました。
 聞き慣れない鳥の声と見慣れない木、むあっとした湿度の高い空気がカンボジアに来たことを実感させました。カンボジアで過ごした7日間は驚きと発見の連続でした。
 カンボジアはチップの文化が根強く、命にかかわるような緊急を要する事態であってもチップを求めることが多く、日本のように誰もが医療機関を利用できることが当たり前だと思ってしまっていた自分にはっとしました。都市部から離れた病院では、チップの量で患者に施す治療が違ったり、治療の順番も違ったり、と日本にいたら想像もできないような医療の現状があることに衝撃を受けました。大学で学んでいるような、患者のプライバシーや気持ちに配慮した看護を行っていない病院もあると聞きました。助かる命が助からない現実がそこにはあり、海外の医療ボランティアの人たちが集まる小児病院では真夏の炎天下の下で何百人という人たちが受診を待っていて、見ているだけで何もできない無力感ともどかしさを感じました。また、アンコールワットなどの観光客が多く集まる場所では、水痘症の子どもを抱えお金を恵んでもらおうとしている母親の姿、地雷で足をなくした人たちが演奏してお金を稼ぐ姿、小さな子どもが外国人観光客に土産を売る姿に胸が締め付けられそうになりました。村ではため池のようなものをよく見かけ、その中には白く濁った水が入っていて、それで手や体を洗ったりするのだと教えてくれました。カンボジアだけに限らず発展途上国では感染症や下痢で命を落とす人が多く、このような衛生状態が背景にあるのだと実際に見て感じました。医療や生活環境、衛生状態において教科書や授業だけではわからない現状があることに衝撃を受けました。しかし、そうしたネガティブな発見ばかりではなくそれ以上のポジティブな発見もありました。それは現地の学校で行ったボランティアで子どもたちが気づかせてくれました。
 農村地での学校では、様々な年齢の子どもが一つの教室で同じ授業を受けていました。私たちが行ったときは寄付されたピアニカを使って音楽の授業をしていて、私たちも子どもたちと一緒に授業を受けました。日本人のボランティアの方が授業をしていて、先生を見る子どもたちの目はとてもきらきらしていました。先生が話すときは誰もおしゃべりをせず、一言も聞き逃すまいとして、真剣に話に聞き入っていた姿は印象的でした。義務教育を受けている日本人は教育の大切さを忘れてしまいがちだけれど、この光景を見て教育を受けられることに感謝しなければならないと感じました。その授業ではかえるの合唱を教えていて、私たちも子どもたちの隣に座り一緒に教えました。子どもたちはピアニカに

触れること自体も初めてで、ただ音を出すだけでとても嬉しそうでした。一緒にやっていて間違えると、「もう一回!もう一回!」と悔しそうに私に言って、間違えずに弾けたときのはじけるような笑顔と痛いくらいのハイタッチは今でも鮮明に覚えています。休み時間は「遊ぼう!」と子どもたちから駆け寄ってきて私の手を引いて外へ走り出しました。風船で一緒に遊んだり、私の髪で現地の女の子とお揃いの編みこみを作ってくれたり、きれいな花を摘んで私にくれたりして、笑ってばかりの楽しい時間を過ごしました。日本のような医療も生活環境も衛生状態もないけれど、そのような背景が本当にこの子どもたちに
あるのかと疑わせるくらい生き生きとしていて希望に満ち溢れていました。かえるの合唱の演奏を一緒に頑張ったこと、休み時間に楽しい時間をともに過ごしたこと、その一瞬一瞬を忘れないでくれたらいいなと思います。
 実際に行ったからこそ知った医療や衛生状況、人々の生活、出会えた様々な状況の人々、
子どもたちの眩しいくらいの笑顔は私の大きな財産となりました。迷いや不安もあったけれど、勇気を出して行って良かったと心の底から思いました。大学で看護を学んでいることは世界の様々な国に対して医療の側面からアプローチができるため大きな強みだと感じました。将来自分が発展途上国で医療支援を行うような立場になるかは分からないけれど、今回の経験で自分の将来の可能性が広がったと思います。そして、今私にできることは何だろうと考えました。それは今自分がいる環境に感謝を忘れず、将来の医療者としての自覚を持ち、自分のスキルを磨くことだと感じました。これからますます勉強や実習が忙しくなると思うけれど、カンボジアで経験した全てのことを忘れずに日々の生活の中でいかしていこうと思います。自分自身も成長できたとても有意義な7日間でした。関わってくださったすべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。