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第46回Academia 外国語学部公開研究会 実施報告

第46回アカデミア          2012年5月23日(水)   於E105教室

題目:バチカンの聖と俗———日本大使の一四〇〇日

発表者:上野 景文 客員教授

発表要旨: 2010年秋まで4年間(1400日)日本の大使として派遣されたバチカンに関する文明論的体験談。宗教機関として世界中にネットワークを持つ一方で、国家という世俗的な顔を持ち合わせるバチカンは、その「聖・俗の二重性」を反映してか、国の公式名称を2つも———the Holy See、 Vatican City State(歴史的にはthe Holy Seeの方が由緒ある)———有する。バチカンは、また、近代国家が備える3要件———Nation State、民主主義、政教分離———のどれをも満たさず、古代・中世の「遺物」と言う面を持つ。にもかかわらず、欧州やカトリック圏からだけでなく、プロテスタント圏、正教圏、更には、イスラム圏、仏教圏からも、元首クラスの「法王詣で」が目白押しだ。どうやら、ローマ法王は、欧州だけでなく国際社会全般で、「特別」の存在であり、また、国際問題や社会問題などの世俗のテーマについてたえず警鐘メッセージを出し続ける「国際的お目付け役」の顔を持つ。欧州の「奥の院」とも言えるこのバチカンが率いるカトリック教会には、意外なことに、日本人から見て分かり易い「文化」を有すると言う面もある。以上の視点を中心に、体験を語った。