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大学院国際協力研究科修了生・松井一美さん、語学研究の書籍を刊行


 2009年3月に杏林大学大学院国際協力研究科・博士後期課程(開発問題専攻)を修了した松井一美さんから、書籍を刊行した旨の連絡とともに、謹呈本が届きました。
 この書籍は、『「−ている」の意味とロシア語のアスペクト』と題した研究本で、松井さんが本大学院に博士学位論文として提出したものに加筆・修正がなされ、この度出版されたものです。

 本書では、「−ている」の意味についてロシア語アスペクト論の視点を踏まえ考察するとともに、ロシア語母語話者の「−ている」の習得に関し、「−ている」表現とロシア語表現の対照をもとにいくつかの調査を行い、ロシア語母語話者の「−ている」習得の困難要因についても検証を行っています。

 彼女の指導にあたっていた金田一秀穂教授は、「ロシア語の研究者は他のメジャーな言語に比べてあまり多くなく、特にそのアスペクト体系は本文でも触れられているように、日本語話者には理解しにくいカテゴリーである。松井さんは、これをたいへんシンプルにわかりやすく説明し、それが日本語とどのように異なるか、日本語を学ぶ上でどのような困難が予想されるか、実証的に明らかにしている」と述べています。また、「単なる対照研究にとどまらず、それぞれロシア語の文法の手引きでもあり、日本語のアスペクト研究においての重要な基本的文献となっており、ロシア人日本語学習者にとってはもちろん、日本語教育界にとっての有益な財産になると思われる」とも評しています。

 松井さんは、「10年余りの一般企業での勤務を経て、日本語教師となり日露二国間協定に基づくプログラムによる派遣で2年間ロシアの大学で日本語を教えました。帰国後、杏林大学大学院に入学し、金田一秀穂先生のゼミ生としてご指導を受けました。日本語のアスペクトとしての『−ている』に関する研究文献を読むうち、ほんの少しロシア語が分かる者から見た素朴な疑問が頭を離れなくなり、博士論文のテーマとすることに致しました。在学中は金田一秀穂先生はじめ杏林大学の先生方には大変お世話になりました。またこの度は、小山三郎先生のお力添えにより上梓の運びとなりました。先生方には本当に感謝しております。未熟な点は多々あるかと思いますが、これをひとつの契機として更に研鑽を積んで参る所存です」と話しています。

『「−ている」の意味とロシア語のアスペクト』

『「−ている」の意味とロシア語のアスペクト』
松井一美著・2015年3月30日発行
(株)晃洋書房 価格3,000円+税

2015.4.28