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北島教授・宮首教授が研究活動として中国北京・広州を訪問

 2月22日から27日にかけて中国の北京と広州を訪問しました。平成28年度厚生労働科学研究「外国人に対するHIV検査と医療サービスのアクセス向上に関する研究」の活動の一環として、中国におけるHIV対策に関する情報収集と、中国のHIV研究者やNGOとのネットワークを構築することが主な目的でした。今回の訪問には、本研究の分担研究者である宮首弘子教授(外国語学部・国際協力研究科)にも同行していただきました。

 北京では、Danlanという男性同性愛者を中心としたセクシャルマイノリティーを支援しているNGOを訪問しました。DanlanはBlueCityホールディングの一組織である。BlueCityホールディングには、Danlanの他に、Danlan.org(インターネット検索サービス)、V1068(インターネットブラウザー)、Blued(携帯アプリ)という事業を運営しており、これらの事業による収益と中国政府等からの助成金によりDanlanは運営されています。Danlanはインターネット上でプラットフォームを提供しており、中国国内でHIV対策やセクシャルマイノリティーを支援しているNGOが情報発信をしたり、男性同性愛者等にとってのオンラインでの居場所を提供したりしています。また、Bluedの会員は2700万人(そのうち海外の会員は500万人)でだそうです。DanlanはBluedを使って会員に対してHIV感染予防に関する情報提供やインターネット講座の提供、HIV検査センターに関する情報や検査の予約といったサービスを提供しています。Danlanの活動がマスコミに取り上げられるようになり、男性同性愛に対するマスコミのとらえ方もポジティブなものになってきたということです。現在、Danlanは北京市内に3カ所のHIV検査センターを運営しており、今年中にあと2カ所増える予定だそうです。そのうちの1カ所を訪問しました。検査センターには疾病対策センター所属の看護師が常駐しており、平日の日中にHIVと性感染症の検査を無料で提供しています。

 広州では、中山大学公衆衛生学院のZou 先生のご紹介で、広同網というNGOを訪問しました。ここの会員数は約200万人でということでした。主な活動は健康教育、インターネットを通したHIV検査受検の奨励とHIV検査の提供、コンドームの配布、小中学校での性的多様性に関する講演です。検査キットの配布によるHIV検査も行っており、2016年の受検者数は合わせて12000超とのことでした。これらの活動が効果からか、このNGOで検査を受ける人の中での新規HIV感染者数は減少傾向にあるそうです。

 広州では、広東外語外貿大学の東方語言文化学院も訪問しました。ここはアジアの16の言語を教育しており、本学の協定校でもあります。広州市における外国人の数が増加しており、医療通訳対するニーズも高まっているということから、その状況と医療通訳の養成に関する意見交換を行いました。

 今回の訪問で得られたNGOや研究者とのつながりを活用し、国内の外国人に対するHIV検査や医療サービスに関する情報提供や医療通訳提供の仕組みを構築していきたいと思いました。

総合政策学部・大学院国際協力研究科 教授 北島 勉
2017.2.28