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第2回グローバルシンポジウム「目指せ国際人〜グローバル人材と国際協力」開催報告

 第2部は、まず司会の神谷茂医学部教授から、本学の十数年に及ぶJICA感染症研究対策プロジェクトへの調査団員派遣やケニア人研究者の受け入れ等、JICAとの緊密な協力関係について説明がありました。
 その後、基調講演として、竹下悌治氏(JICA青年海外協力隊事務局長)から「青年海外協力隊とグローバル人材」と題し、講演いただきました。世界88か国、37,000人以上の支援者派遣の実績を持つJICAでは、派遣前に170時間以上の現地言語の学習や文化・安全対策等に関する研修が実施されています。しかし、現地での厳しい生活環境、異なる言語・文化の中で予測できない事態に直面することも頻繁にあります。その問題を解決するためには、現地の人と同じ目線で生活し、絶え間ない対話と信頼関係の構築、共に取り組む姿勢が大切であり、その能力を備えてこそ、グローバル人材であるとお話いただきました。
 続いて、北島勉総合政策学部教授のコーディネートの下、3名のパネリストによる体験発表と意見交換が行われました。
 石原 恵氏(看護師。杏林大学大学院国際協力研究科修了)は医療保健分野を中心とした国際的NGOメデュサン・デュ・モンドの日本支局に所属し、途上国にて形成外科の修復プロジェクトに参加をしています。国際人に必要な要素として、適応力・応用力、コミュニケーション能力、危機管理能力(安全面・精神力・体力)、マネジメント能力、広い視野と広い心を持つことを挙げました。
 池田 尚広氏(通訳者。杏林大学外国語学部中国語学科卒業、国際協力研究科修了)は、日本中国文化交流協会にて、日中交流を促進する展示会や座談会等にて通訳を担当している経験から、プロの通訳者にとって大切な要素として、高いコミュニケーション能力による信頼関係作り、チームワーク力、時事問題・国際情勢へアンテナを張ることを挙げました。また、杏林大学の後輩達へ、多少難しいと感じることでも度胸を持って取り組んでほしいとエールが送られました。
 近藤 美智子氏(天使大学看護栄養学部非常勤講師。杏林大学国際協力研究科修了)は、JICAの国際緊急援助隊医療チームに所属しています。自然災害の発生した途上国での救援活動経験から、グローバル人材に欠かせない要素として、相手の話を聴き対話ができる力、自分が何をすべきか判断し実行できる力、現地・周囲の人々と協働できる力についてお話しされました。

杏林大大学 神谷 茂医学部教授

杏林大大学 神谷 茂医学部教授

竹下 悌治氏(JICA青年海外協力隊事務局長)

竹下 悌治氏(JICA青年海外協力隊事務局長)

杏林大学 北島 勉総合政策学部教授

杏林大学 北島 勉総合政策学部教授

 その後のパネルディスカッションでは、「現場での困難な体験を克服する原動力とは」という問いに、「責任感や自身・チームの成長を実感すること」、「先輩の応援、成果を必ず出すという心構え」、「援助への使命感」という答えがそれぞれ挙がりました。
 「経験を通して感じる日本人としてのアイデンティティは」いうフロアからの質問に対しては、「細やかな気遣いをした際に、その日本らしさに感謝をされた」、「被災地で日本人の医師を指名して、遠方から訪問する患者がいた時に、日本人ならではの丁寧で優しい対応に客観的に気づかされた」「中国語では訳しにくい日本の奥ゆかしさを表す表現に出会う」という回答が挙がるなど、活発なディスカッションが繰り広げられました。

2013.09.13

左から竹下 悌治氏、石原 恵氏、池田 尚広氏、近藤 美智子氏

左から竹下 悌治氏、石原 恵氏、池田 尚広氏、近藤 美智子氏