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嚥下障害診療の最前線 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

嚥下障害診療の最前線

日時:平成26年10月4日(土)午後1時30分〜午後3時

場所:杏林大学三鷹キャンパス 大学院講堂

講演者:唐帆健浩(杏林大学医学部耳鼻咽喉科学教室准教授)


 平成26年10月4日(土)杏林大学三鷹キャンパス大学院講堂にて杏林大学公開講演会「嚥下障害診療の最前線」が開催された。研究所からは蒲生、相見が出席した。講演に先立ち、杏林大学広報担当者から杏林大学医学部 唐帆健浩准教授のご紹介の後、唐帆健浩准教授から「嚥下障害診療の最前線」と題した講演が行われた。

 講演では①嚥下の機能と異常、②嚥下障害の検査と治療、③地域医療連携の3つに大きく分けご説明頂いた。嚥下とは口の中に入れた食物や水分を口腔から咽頭と食道を介して胃に送り込むまでの運動である。
 嚥下障害の症状は、誤嚥(食物が誤って気管に入る)の可能性が疑われるものとして、水分摂取・食事の際にむせるないしは咳き込む, 食後に痰が絡む, 肺炎を繰り返すなどが挙げられた。その他に食べ物が飲み込みにくい, のどを通らない, 飲み込み時に痛い, 数か月で急激に体重が減ったなどの症状では通過障害が疑われ、咽頭や食道に腫瘍がないかどうかを診察する必要とのことである。
 嚥下障害の原因としては、脳卒中後の後遺症や神経・筋肉の病気, 口やのどの炎症, のどや食道の腫瘍, さらには加齢による嚥下機能の低下など様々である。加齢による嚥下機能低下の要因は、唾液の減少, 噛む力や飲みこむ力の低下, のどの感覚の低下, 食道の通貨や送り込みの低下等である。嚥下機能の検査には、冷水を飲んでむせるかどうかをみるもの, 30秒間に唾液嚥下を繰り返すものなどのスクリーニング検査から嚥下造影検査, 嚥下内視鏡検査, 嚥下圧検査を専門施設で行うものがある。
 嚥下障害への対応は、口腔ケアや食事内容・量の嚥下指導、嚥下訓練(嚥下リハビリテーション)、嚥下手術、代替栄養法などがあり程度に応じて進められるとのことである。特に口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防になり重要である。粘膜剥離上皮や食べ物のかす、舌苔は細菌繁殖の温床となりやすく、歯磨き時に粘膜や舌のケアも行うことが大切である。また個人で出来る嚥下リハビリテーションとして「藤島式嚥下体操」をご説明頂いた。
 最後に本院における地域医療連携についてご説明頂いた。本院には摂食嚥下センターがあり、複数の診療科の医師や多職種の専門家によって摂食嚥下障害に対するチーム医療を行う専門外来部門である。何らかの症状のある方は近隣の耳鼻咽喉科や消化器科を受診して頂き、杏林大学へ必要に応じて紹介いただく病診・病病連携に積極的に取り組んでいる。

 嚥下機能と嚥下障害に伴う誤嚥性肺炎や予防、嚥下訓練、さらには地域医療連携へと多岐に渡る講演であった。本学COC事業においても「健康寿命延伸」を具体的テーマの一つに掲げており、今後の事業の展開に際し、示唆に富む講演であった。

杏林CCRC研究所
相見祐輝

唐帆健浩先生

唐帆健浩先生

講演風景

講演風景