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健康と運動 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・八王子学園都市大学いちょう塾

市民公開講演会

健康と運動 活力ある人生を送るために

日時:平成26年10月25日(土)午後1時30分〜午後3時

場所:八王子学園都市センター

講演者:石井博之(杏林大学保健学部准教授)


 平成26年10月25日(土)八王子学園都市センターにて杏林大学公開講演会「健康と運動」が開催された。研究所からは蒲生、相見が出席した。講演に先立ち、いちょう塾担当者から杏林大学保健学部理学療法学科 石井博之准教授の紹介の後、石井准教授から「健康と運動 - 運動の魅力と効能 -」と題した講演が行われた。

講演風景

講演風景

石井博之先生

石井博之先生

 講演では石井准教授の経験と身体機能の特徴から健康についてご説明頂いた。
健康に関する指標としてポピュラーなものに体脂肪がある。体脂肪は主に皮下脂肪と内臓脂肪に分けられる。内臓脂肪はホルモンの関係により男性の方がたまりやすく、原因としてカロリー・脂肪過剰摂取つまり食べ過ぎと、運動不足である。内臓脂肪は動脈硬化や脳血管障害・心筋梗塞などの様々な病気を引き起こす。内臓脂肪は加齢とともに増加しやすいが、運動によって落としやすい。加齢による肥満の原因として内臓脂肪蓄積以外に基礎代謝量の低下が挙げることができる。基礎代謝量は、平均値では男性が17歳、女性は14歳をピークに次第に低下する。つまり同じ食事量と運動量であっても、加齢とともに必然的に太りやすくなる。基礎代謝量の維持は筋肉量の維持によって可能である。筋肉量は30歳ごろがピークでその後は加齢とともに低下する。女性より男性の方が加齢に伴う筋肉量減少割合が大きい。筋肉量低下原因はテストステロンの影響、運動量の減少、栄養摂取(嗜好の変化)、骨折などのアクシデントが挙げられる。
  内臓脂肪消費、基礎代謝低下、筋肉量減少は運動することにより対応できるが、加齢により身体機能の変化することも熟知しなければならない。加齢による身体機能の変化として筋線維組成がある。筋線維は遅筋(ST)線維と速筋(FT)線維で構成されている。FT線維は瞬発力を引き出す時に使われ、加齢によってその割合が減少することが知られている。トレーニングによってFT線維の減少を防ぐことは困難である。すなわち、加齢に伴い誰でも素早い動作ができにくくなる。一方、ST線維はゆっくり収縮し持久力を引き出す時に使われる筋肉である。ST線維に依存する持久力と筋力(筋線維の数の減少)はトレーニングによって減少率を抑えることができる。
 高齢者のトレーニングには加齢に伴う循環機能の変化に注意することが重要である。個人差はあるものの、一般的に最大心拍数を把握することが重要であり、最大心拍数は「220−年齢=最大心拍数」で表すことが出来る。最大心拍数はトレーニングの有無によらず同年齢であればほぼ等しくなる。すなわち加齢によって最大心拍数の低下は避けられない。そのため適切な運動の選択が大切である。

 高齢者(65歳以上)の人口は平成25年度で3186万人に上る。健康寿命が延びることにより医療費削減が期待されるなか、健康と運動、そして高齢者の運動特性と運動する際の注意点を周知する必要がある。本学COC事業においても「健康寿命延伸」を具体的テーマの一つに掲げており、今後の事業の展開に際し、示唆に富む講演であった。

杏林CCRC研究所
相見祐輝