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「ICTを用いた地域医療ネットワークの近未来」講演会報告


地(知)の拠点整備事業講演会
「ICTを用いた地域医療ネットワークの近未来」

 平成27年2月7日(土)、杏林大学「地(知)の拠点整備事業」主催によるシンポジウム「ICTを用いた地域医療ネットワークの近未来」が開催された。会場は、杏林大学医学部付属病院外来棟10階第1会議室が用いられた。杏林大学関係者のほか、三鷹市近郊の医療機関・企業・大学関係者を中心に約50名が来場した。本シンポジウムの趣旨は、高齢化が進む都市部の医療・介護・健康問題に対応するために、近年発展著しいICTを活用した地域医療ネットワークを構築する可能性を明らかにするというものであった。本学医学部第二内科の吉野秀朗教授が司会進行を務め、跡見裕学長が開会の挨拶を述べた。

特別講演1:「医療・介護・健康分野におけるICTの利活用について」(田邊光男 総務省情報流通高度化推進室長)
 田邊氏の講演では、まず日本の高齢化の現状と国際比較で見た特徴が概観され、続いて総務省の施策について紹介が行われた。日本では諸外国に先駆けて急速な高齢化が進んでおり、国民医療費・社会保障費も急増している。そこで医療分野においてもICTの利活用により医療の効率化と医療費の抑制が期待される。近年のICT技術のトレンドはビッグデータ、クラウド、センサー、スマートフォンであり、これらは医療分野のICT化にも応用できる。医療・介護・健康分野の取組事例として、長崎県のあじさいネットなどが稼働している。その他にも、総務省では「スマートプラチナ社会」の推進に向けて、ICTを活用した様々な取組みを行っていることが報告された。

田邊氏講演風景

田邊氏講演風景

特別講演2:「地域情報ネットワークに関する先端技術紹介」(宮島恒敏 IPDCフォーラム幹事)
 宮島氏からは、最先端のICT技術の動向が報告された。ウェアラブル製品の台頭などにより、ICT産業におけるヘルスケア分野の存在感が高まっている。災害時の情報伝達や救急医療での対応の迅速化など、様々なICTの活用可能性があるとして、佐賀県の救急搬送事例などが紹介された。また宮島氏の講演の中で、慶應義塾大学政策・メディア研究科特任准教授の石田剛朗氏による「IP over デジタル放送」の活用についての説明と、ダブルフロンティア株式会社の八木橋裕氏によるスマートフォンの安否確認アプリのデモンストレーションが行われた。その他に、大規模災害時の通信インフラとしての端末間通信技術(P2P)や公衆Wi-Fiを活用した新しいインフラの可能性などが説明された。

宮島氏講演風景

宮島氏講演風景

石田氏講演風景

石田氏講演風景

八木橋氏講演風景

八木橋氏講演風景

特別講演3:「先進事例紹介 H25年度ICT街づくり推進事業「柏市総合健康支援サービス」」(多湖英明 株式会社エムティーアイ ヘルスケア事業本部)
 多湖氏の講演では、実際にICTを用いて進められている実践事例が紹介された。株式会社エムティーアイでは、女性向けアプリ「ルナルナ」をはじめとして200以上のモバイルコンテンツを扱っているほか、遺伝子解析サービスや活動量計サービスなどを提供している。それらの経験を活かして、千葉県柏市や群馬県前橋市における総務省のICT街づくり推進事業に関与している。具体的には、電子母子手帳サービスや、活動量計を用いた「健康状態見える化」に取り組んでいる。今後の展望として、地域密着プラットフォーム型サービスの提供や、ライフコースの様々なステージでのサービス提供が考えられているとした。

杏林CCRC研究所
松井孝太

多湖氏講演風景

多湖氏講演風景