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第14回杏林CCRC研究所セミナーについて

第14回杏林CCRC研究所セミナー報告


日 時:平成27年4月3日(金)14時〜16時30分

場 所:杏林CCRC研究所分室(三鷹市下連雀3-38-4 三鷹産業プラザ3階 304)

タイトル:海外調査報告−米国高齢者研究と高齢者住宅事情

報告者:蒲生忍、松井孝太(杏林CCRC研究所)

セミナー風景

セミナー風景

 平成27年4月3日(金)、杏林CCRC研究所(三鷹産業プラザ内)で、研究所の蒲生と松井を報告者として、第14回杏林CCRC研究所セミナーが開催された。研究所からは報告者2名のほか相見と多田が参加した。学外からは、みたか・認知症家族支援の会の石村巽氏と黒須正雄氏、NPO法人鷹ロコ・ネットワーク大楽の林田昭子氏と久保田裕子氏、本学COC事業の生きがいづくりコーディネーター制度修了生の杉本正隆氏が出席した。

 はじめに、松井が平成26年10月に実施した米国出張の報告を行った。松井は10月15日から同24日にかけて米国を訪問し、ミズーリ州セントルイス市に所在するWashington University in St. Louis(以下WUSTL)におけるシンポジウムMcDonnell International Scholars Academy 5th International Symposium: The Role of Research Universities in Addressing Global Challengesに参加した。WUSTLはソーシャルワークが全米1位、メディカルスクールが6位に位置するなど全米有数の研究水準を誇る大学であると同時に、セントルイスの地域経済に対して多大な貢献を行っている。シンポジウムでは人口高齢化や公衆衛生などがテーマに設定され、世界各国の大学から多数の参加者が参加した。また、グローバル/ローカルな課題に対する大学の役割と責任や、大学間での研究協力の推進が議論された。シンポジウムへの参加のほか、WUSTL医学部長のLarry Shapiro教授の紹介と案内により同大学病院群とphysical therapy(理学療法)教育プログラムを見学した。また、同大学におけるジェロントロジー研究拠点であるHarvey A. Friedman Center for Agingを訪問した。
 次に、蒲生が平成27年2月に実施した米国出張の報告を行った。蒲生は、2月8日から同15日にかけてカリフォルニア州サンフランシスコ市を訪問し、現地の高齢者施設の情報収集を行った。調査の目的は、前年度の米国出張(シアトル市、フェニックス市、サンフランシスコ市)で得られた米国高齢者施設の知見を手がかりにしつつ、白人を主な対象とする他市の高齢者施設とは異なるサンフランシスコ市の日系人施設を特に集中的に調査することであった。San Francisco Buddhist ChurchのRev. Ronard Kobata氏とCalifornia Pacific Medical CenterのJulie Hanada氏の案内により、サンフランシスコ市のKimochi Home(気持会)、サンノゼ市のYu-ai Kai(友愛会)、介護付有料老人ホームThe Carlisle、同Kokoro(心)、米国型CCRCのThe Sequoiasを訪問し、それぞれの施設の日本人・日系人入居者から情報提供を受けた。報告のまとめとして、海外での老後生活の可能性、日本人と日系社会の関係性、米国的な「自律」の観念について指摘がなされた。
 米国の日系コミュニティは、日本的な文化や伝統を継承しつつ、人口減少の中で多人種化や現地社会との一体化を進めているという点で、人口減少・グローバル化が進む日本社会にとって興味深い事例であるといえよう。そのような日系コミュニティに見られる高齢者ケアのあり方からどのようなことを学ぶことができるのかについて、参加者を交えて極めて活発な議論が交わされた。

杏林CCRC研究所
松井孝太