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高齢者のアルコールとの上手な付き合い方 アルコール性認知症について 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催

市民公開講演会

高齢者のアルコールとの上手な付き合い方 アルコール性認知症について


日時:平成27年10月17日(土)午後2時〜午後3時30分

場所:三鷹ネットワーク大学 教室ABC

講演者:松井敏史(杏林大学医学部非常勤講師)


 平成27年10月17日(土)杏林大学公開講演会・三鷹ネットワーク大学共催の「健康寿命延伸」講座「高齢者のアルコールとの上手な付き合い方 アルコール性認知症について」が三鷹ネットワーク大学にて行われた。講演者の本学医学部高齢医学松井敏史非常勤講師は、東北大学医学部卒、東北大学医学部付属病院、ハーバード医科大学マサチューセッツ総合病院留学、国立病院機構久里浜医療センターを経て、本学医学部付属病院もの忘れセンターで日本老年学会専門医・指導医、日本認知症学会専門医・指導医として活躍してきた。

講演風景

講演風景

松井敏史先生

松井敏史先生

・「高齢者のアルコールとの上手な付き合い方 アルコール性認知症について」


 適度な飲酒は体に良いといわれますが高齢者の約15%に飲酒が関連した健康問題があります。1日あたり日本酒で3合を超える飲酒量で認知症になりやすくなります。頭部MRIをみると委縮が進み、脳梗塞の数が増えます。退職後に飲酒量がふえてしまうケースがあります。「節度ある適度な飲酒」とは社会的活動の参加や仕事の継続など生きがいのある生活と共にあるものです。アルコールとの上手な付き合い方についてお話します。

 認知症とは、正常に発達した知能が、生まれた後に起きた様々な脳の障害により、社会生活に支障がでる程度にまで低下した状態をいう。記憶障害、見当識障害、判断力の低下を引き起こす脳の認知機能障害である。認知症の最大のリスクは加齢であり、65歳から5歳刻みで発症率が倍増する。認知症は症状であり、原因となる疾患が背景にある。認知症原因疾患はアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型、アルコール関連と様々である。原因疾患の判別には脳の萎縮を判断できるCTやMRI、脳機能を判断する脳血流検査などの画像検査を行う。60歳を過ぎれば認知機能は低下し、軽度認知障害、さらに認知症へと進行する危険を常に伴っており、その予防は健康な高齢社会を維持するための重要な課題である。

 認知症は過度の飲酒により誘発される危険がある。「健康日本21」では飲酒量が1日平均60g以上を多量飲酒者、1日平均20g以上を不適切飲酒者とする。過度なアルコール摂取は急性期にウェルニッケ脳症、慢性期にコルサコフ症候群等の中枢神経疾患を引き起こすことがある。コルサコフ症候群では脳委縮が顕著である。やけ酒、一人酒、昼間からの飲酒や寝酒、食事を摂らないで飲むなどの悪習慣はアルコール依存症になりやすい。アルコール依存症では認知症発症を10年ほど早めるだけでなく、低栄養、骨密度低下や筋肉容量減少が認められ、脳血管障害、骨折、廃用症候群の危険もある。アルコール認知症は脳萎縮と脳梗塞を合併、認知機能低下にとどまらず健康寿命を著しく短縮する。治療には認知症治療薬のほかに葉酸やビタミン補充、降圧剤や抗血小板剤を用いる。規則正しい生活と適度な運動、社会活動などの生きがいを持つことも重要である。
 団塊世代が退職の時期をむかえ飲酒による様々なトラブルが懸念される中で、過度の飲酒が認知症を誘発する可能性も忘れてはならない。「酒は百薬の長」とも言われるが、実りある退職後の生活を送るためは節度ある飲酒・生活習慣を維持することの重要性が示唆される。

杏林CCRC研究所
相見祐輝

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