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RISTEX公開シンポジウム「多世代共創による持続可能な地域社会の実現に向けて」参加報告


 平成28年3月1日(火)、コクヨホールで開催されたRISTEX(国立研究開発法人科学技術振興機構社会技術研究開発センター)の公開シンポジウム「多世代共創による持続可能な地域社会の実現に向けて」に研究所の蒲生と松井が参加した。本シンポジウムの趣旨は、平成26年度に設定された研究開発領域「持続可能な多世代共創社会のデザイン」に採択された8つの研究開発プロジェクト及び領域全体の中間成果報告と、平成28年度提案募集に向けた情報提供であった。

 はじめにRISTEXセンター長の泉紳一郎氏から開会挨拶・開催趣旨が述べられた後、領域総括で東京都市大学教授の大守隆氏が「領域が目指すもの」と題する講演を行った。講演では、持続可能性という概念の重要性と、持続可能な社会が実現しない要因、持続可能な社会の実現に向けた多世代共創の可能性について述べられた。それに続いて、領域で推進中のプロジェクト・企画調査の紹介と、領域の運営方法、領域としてのリサーチ・クエスチョンが説明された。

 次に、領域で平成26年度と27年度に採択された8つの研究開発プロジェクトの中間報告が行われた。「多世代参加型ストックマネジメント手法の普及を通じた地方自治体での持続可能性の確保」では、社会を支える資本ストック(人的資本・人工資本・自然資本・社会関係資本)の現況や将来予測を行うソフトウェアの開発が紹介された。「多世代共創による視覚障害者移動支援システムの開発」では、視覚障害者が携帯する汎用携帯型端末が、移動アクセシビリティ情報を自動収集し、クラウドで共有できるシステムの開発が紹介された。「未病に取り組む多世代共創コミュニティの形成と有効性検証」では、個人が自らの健康状態を把握できるツールや評価の仕組み開発などが紹介された。「集合的幸福の概念構築と多世代共創の効果検証」では、個人レベルと地域レベルの幸福を組み合わせた「集合的幸福」の測定ツール開発などが紹介された。「羊と共に多世代が地域の資源を活かす場の創生」では、宮城県南三陸町をフィールドに、羊牧場を核として多世代が協働する地域モデル構築の取組みが紹介された。「分散型水管理を通した、風かおり、緑かがやく、あまみず社会の構築」では、治水・利水・環境・暮らしを見据えた包括的な水管理を軸とする「あまみず社会」の取組みが紹介された。「ジェネラティビティで紡ぐ重層的な地域多世代共助システムの開発」では、地域のサポートネットワークの形成、子育て支援と高齢者生活支援のマッチングシステム開発、多世代交流プログラム開発、生活困窮子育て世代支援が紹介された。「未来の暮らし方を育む泉の創造」では、高齢者ヒアリング等によって新しいライフスタイルをバックキャスト施行によりデザインする取組みなどが紹介された。

 研究開発プロジェクトのポスターセッションの後、領域アドバイザーの大和田順子氏が、領域を通して「これまでに分かったこと」と題する講演を行った。講演では、シンポジウム冒頭に列挙された領域のリサーチ・クエスチョンに対する暫定的な答えが提示された。

 続いて、パネルディスカッション「多世代共創の可能性と課題」が行われた。最後に、RISTEXから平成28年度の提案募集に向けた情報提供が行われた。

杏林CCRC研究所
松井孝太