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腸内フローラと健康 講演会報告

杏林大学「地(知)の拠点整備」事業
杏林大学・三鷹ネットワーク大学 共催
市民公開講演会

腸内フローラと健康

日時:平成29年5月20日(土)午後2時〜午後3時30分

場所:三鷹ネットワーク大学

講師:神谷茂(杏林大学医学部感染症学教室 教授)

神谷茂教授

神谷茂教授


講演概要
 ”腸内には500種類以上100~1000兆の腸内菌がすみつき腸内フローラ(細菌叢(そう))を形成しています。近年、腸内フローラ研究が飛躍的に進歩し、肥満、ディフィシル菌感染症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、大腸癌、肝疾患、糖尿病、動脈硬化症、自閉症、多発性硬化症等と腸内フローラとの関連性について新たな知見が報告されています。
 講演会では、両者の関連性について私たちの研究データを含めて紹介すると共に、健全な腸内フローラを維持していくことの重要性についてもお話しします。”

 5月20日の午後、三鷹ネットワーク大学を会場に杏林大学COC事業、三鷹ネットワーク大学の共催で「腸内フローラと健康」講演会が開催され、三鷹市民を中心に41名が参加した。本講演会の講師は本学医学部感染症学教室の神谷茂教授で、1994年に本学へ赴任以来、ヘリコバクタ-・ピロリの病原性、マイコプラズマの病態、診断および治療、クロストリジウム・ディフィシルの病原性、腸内フローラの意義とプロバイオティクスの医学応用等の研究を進める傍ら、学長補佐としての重責も担っている。本講演会で神谷教授は、我々の腸内には多種の膨大な数の細菌が共生し腸内フローラを形成していること、腸内フローラが我々の健康に重要な役割を果たしていることを最新の研究成果を交えて紹介した。

 19世紀フランスの細菌学者パスツールは多くの細菌が我々の周辺に存在し発酵や腐敗に関わり、また体内に侵入し感染症の原因となることを示した。現在では細菌に対抗する抗菌薬アンチバイオティクスの発見により感染症の多くはコントロール可能な状態となっている。しかし、我々の周囲には未知の膨大な種類の細菌が存在する。また、我々はこの世に生まれると共に細菌との共生を開始し、その機能により多くの利益を得ている。我々と共生する細菌は種類が多く分離も困難であったため、その一部しか詳細な役割は知られていなかった。しかし、近年メタゲノム解析と呼ばれる遺伝子を網羅的に解析する技術の進歩により、多数の腸内に共生する細菌種の同定が可能となり、またその種の持つ遺伝子の機能からの役割の推定が可能となってきた。その成果はさらに食や運動等の生活習慣との関連のみならず、幾つかの難治性の疾患との関連も示唆しつつある。さらにプロバイオティクスと呼ばれる好ましい細菌叢を摂取すること、そのような細菌叢の増殖維持を促進するプレバイオティクスで健康を維持獲得する試みも注目されている。

 「腸内の細菌が肥満や血圧に関与する」は想像に難くないが、自閉症等との関連については予想を超える発見である。ヒトの全遺伝子の配列を決定することを目的に確立されたゲノム解析の技術は、多くの他分野にも導入応用され、従来の実験や研究の手法では得られない膨大な情報に基づき、想定外の知見を提供する。今後の精緻な検証は必要であろうが、さらなる発展を期待したい。
限られた時間の中、熱心にご聴講いただいた市民の方々、また最新の研究成果を交えたご講演をいただいた神谷先生に感謝します。

杏林CCRC研究所
蒲生忍

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