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アドバンスト・プレイスメント・ラウンドテーブルを開催

 平成28年2月19日(金)午後より、杏林大学医学部付属病院外来棟10階の第二会議室において、文科省の高等教育局専門職、近隣の大学(亜細亜大学、成蹊大学、東京外国語大学、東京女子大学、杏林大学)関係者、高校(聖徳学園高校、大成高校、関東国際高校、三鷹中等教育学校)関係者が出席して、アドバンスト・プレイスメント(高校生が大学の授業を入学前に履修し、入学後その単位の認定を行う制度)に関するラウンドテーブルが開催されました。

 跡見裕学長の開会挨拶に引き続き、文部科学省の河本達毅氏からは、平成17年からの一連の中教審の答申の流れの中で高大接続の重要性に至った点が指摘されました。3つのポリシーの下、「学生が何ができるようになるか、そのための何をどう教えるか」の学習者の利益を考え、平成28年度から入学してくる新学習指導要領で育った高校生に対して、大学がどのように対応するかが問われているとしました。残念ながらアドバンスト・プレイスメントは、今の日本では根づいていないが、今後の杏林大学の進め方に注目していると述べられました。

 ポール・スノードン副学長からは、米国では“seamless”や「K through 16」という呼び名で幼稚園から大学卒業までの学習期間をひとまとまりで考えるようになってきているとの話から始まりました。そして、杏林大学の考えるアドバンスト・プレイスメントの課題や、高校生・大学・高校に対するメリット・デメリット、学則等の規程の在り方の方向性などの説明が行われました。

 坂本ロビン学部長は自らが学生時代に米国で受けたアドバンスト・プレイスメントの経験から、AOや推薦入試で合格した高校生の秋から卒業までの時間をAPの受講に使えれば好ましいと話されました。

 跡見学長からは、医療系のカリキュラムは1日中ぎっしり詰まっており、高校時代にその一部を受けることで、入学後の時間のゆとりと全人教育への広がりが期待できるとしました。

 その後、参加した大学関係者と高校関係者より活発な意見交換が行われました。

 まず、APを受けるより受験勉強に時間を割く高校生が圧倒的ではないか?という現実的問題が提起されました。意欲のある高校生がAPを受講する誘因として、入試で合否を決める際にAP受講を配慮する仕組みができるのか、という点も指摘されました。

 高校3年生は受験のためにAP受講は難しいかもしれないが、高校1年生・2年生には可能性があり、そのために語学などの一般的な科目を提供してもらえば、能力・意欲のある生徒が受講できると高校側から意見をいただきました。その際には、高校生のレベルに応じた高校生が理解できるAPの授業をしていただけるのか、という意見も出されました。これに対しては、大学レベルの授業を受けるのが原則なので、試験等の評価を大学生と同じ基準で行い大学としての権威を保つべきではないかという指摘もありました。一方、大学の魅力として専門科目を開放したほうが良いのではとの意見も出されました。
 
 また、AO・推薦入試で合格した高校生の秋から3月までの時間を有効に使うために、AP受講はとても良い制度であるという点は大方が一致しました。ただ、国立大学では一般的にAO・推薦入試はなく、また女子大学では男子高校生を受け入れることは難しいなどの問題も挙げられました。さらに、単位付与には9月・10月からの秋学期への出席が必要で、この段階で入学が決まっている高校生はいないだろうという意見もありました。

 さらに、いきなりアドバンスト・プレイスメントで単位認定という形でなく、高校教員が大学のアクティブラーニング等の科目を見学し、高校生にも理解でき学習効果のある科目であることを確認したうえで、高校生が継続して受講できるように勧めることが有効な方法であるとの意見が出されました。 つまり、高校教員と大学教員の交流による連携を深め、段階的に進めてゆくことが重要であるということです。

 一方、文部科学省の高大接続の入試改革では、AO・推薦入試の区分がなくなる可能性もあり、APの誘因として入学後の単位認定がメリットとなるとの指摘も出ました。

 大学の規程等については、各大学の規程の作られ方にもよるが、学則を変えずに科目等履修生の規程の変更で対応が可能かもしれないとの意見が出されました。 また、俗に大学のレベルの違いによる「単位の読み替え」が可能か否かは、大学設置基準で設立されている大学である以上は原則的には可能であり、単位の認定の仕方を可視化してゆくことが重要だとの意見が出ました。

 最後に、文部科学省の河本達毅氏から、アドバンスト・プレイスメントは入試にどれだけ関連してくるかがポイントとなる。 アドミッションポリシーに基づく入学資格の可視化の一助とすれば大学入試の負担も軽くすることができるのではないか、そのためにはジェネリックスキルをつけさせる科目を対象とするのが良いのではないか、とのまとめをいただきました。

 その後、会場を松本楼に移し懇親会が開かれ、論議や談笑を続けながら、高校と大学の意見交換を深めました。

                                           

高大接続推進室 2016.02.19