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スノードン副学長が、順天高等学校のSGH活動報告会で基調講演

2月20日(土)に、スーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されている順天高等学校からの依頼で、ポール・スノードン副学長が2015年度SGH活動報告会においては「スーパーグローバルハイスクールと高大接続」と題して高校生に対して基調講演を行いました。
順天高校の交流支援員カバリヤ まほさんがその様子をまとめましたので、以下に報告します。


ポール・スノードン副学長は、「いつもの90分の講義とは違い40分は短いですね」、「SGHには大学との協働が必須であり杏林大学と順天高校の連携は価値があります」と話を始められました。

グローバルという点でいうと、パワーポイントの自分の名前のスペル(Paul Snowden)には、故意にカタカナを使いませんでした。カタカナで名前を読むのはグローバルではありません。グローバル的な思考には、好奇心を持って名前のスペルを調べるというような気持ちが必要で、そういう心を養成してほしい。またプレゼンにある日付も日本語とは違う並び方を使いましたが、その並べ方も文化により異なります。そういった違いにも気づいてほしい。

日本の英語教育には矛盾がたくさんあります。37年間高校の英語の教科書の作成に携わってきましたが、語彙をたくさん入れることが必要だと考えました。しかし、教科書会社からは語彙を少なくしないと現場の人は買ってくれないといわれました。文法項目も各学年で文科省が導入順番を決めています。中学でbe動詞を使うのに、受動態はもっと後にでるなど、教科書の中身は非現実的で、不自然な点があります。ただし昨今は文科省が方針を変え、昔はリーディーング、ライティング、リスニング、スピーキングという順番で指導要領を出していたが、今ではスピーキング、リスニング、リーディーング、ライティングとなり、言語活動の重要さを理解してきました。

しかしいまだに受験英語は矛盾しています。一つだけ私が大学勤務の中で革命を起こしたのは、問題文を英語にすべて変えたということですが、もう少し生きた英語が使えるようになると良いと思います。受験英語とコミュニケーションの英語は違うので、高大接続をきっかけにして改革に努めていきたいと思います。

大学にとって大事なのは、大学のポリシーです。アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーを、この順番で考えていくのではなく、ディプロマポリシーで将来育てたい人材の目標を見極め、そのために、カリキュラムポリシーで適切な教育を見極め設定し、最後にそのためにはどんな学生が欲しいかとアドミッションポリシーで決めるという順番が良いのです。大学のポリシーの作りかたも矛盾していたと思います。



最近は表現も変わってきています。国際がグローバルになったり、連携が接続になったりということです。たとえば“国際”という文言は長く頻用され意味が薄れたので、グローバルにしたのではないか。また“国”という文字が、国境を意識させるが、グローバルは国境を意識しない言葉です。それで表現が変わってきたのではないかと思います。さらに、高大連携という言葉を慣習的に使ってきましたが、それが高大接続になった;つまり、表現が変わることによりコンセプト、概念さえも変わるのだと考え、これから変わろうという意識が見られます。

また大学側でも聴講という言葉もAP (Accelerated Programme/Advanced Placement)という表現(コンセプト)に変わりつつあります。杏林大学では実験的に近辺大学と協力して、AP(Advanced Placement)の導入準備をしています。AP制度では高校三年生が、大学の授業に参加し単位がもらえます。単位は貯金しておき、大学入学時に大学に持っていき単位として認めてもらうという制度です。アメリカでは盛んな制度で(UKでは考えられないが)、文科省でも導入検討しているようです。この実現には複数大学の協力が必要です(単位の認定が他大学でも認められるように)。


グローバル人材は英語の語学力だけは不足で、英語外の言語と自国文化の理解が必要です。またほかの文化も知り、文化の比較をすることが必要です。また専門知識、好奇心、教養が必要です。最後に体験、留学、柔軟性が必要です。柔軟性があることで、分析力、理解、自己表現、自己、世界、地域のことも客観的に理解できるようになるはずです。 

<地域交流課(高大接続推進担当)>