東京五輪の医療支援体制を台湾の行政関係者が視察

作成日時:2019年09月03日

 台湾の行政関係者などが、日本の救急医療や2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた医療体制を視察するため9月2日に医学部付属病院の高度救命救急センターを訪れました。
 来訪したのは、台湾行政院の環境保護署毒物及化学物質局の謝燕儒局長を団長に、内政部消防署訓練センター長や台北市を含む6直轄市の環境保護局と消防局の職員、それに国立総合大学などの専門家ら29名です。
 当院は、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場の医療担当指定施設で、その中核となる高度救命救急センターの山口芳裕センター長は、東京都災害医療アドバイザーや東京消防庁特殊災害支援アドバイザーを務めています。テロなどに対する救急施策の助言や止血帯(ターニケット)の導入・指導講習を東京消防庁や日本医師会に対して行うなど、2020年東京オリンピック・パラリンピックの医療体制の構築に取り組んでいることから、視察の希望が寄せられました。

 一行は、高度救命救急センターの施設を海田賢彦医局長の案内で見学した後、堀野雅祥医師から、東京都の救急システムの概要について説明を受けました。その後、オリンピック・パラリンピックの医療体制について、杏林大学病院が担当する東京スタジアムの会場医療者統括責任者(VMO)を務める宮国泰彦任期助教が、会場内では観客、選手それぞれの医務室を設置し、会場規模に応じた人員配置を行う体制であることなどを説明しました。

 
高度救命救急センターを案内する海田医局長   東京の救急システムを説明する堀野医師

 最後に、山口センター長からテロなどによるNBC災害(※)のうち、化学剤災害について説明を行い、医療スタッフの迅速な判断を助けるフローチャートなどを示しながらアドバイスを行いました。
 団長の環境保護署の謝局長は、当院の視察受入れに対して謝意を述べると共に、「今回の1週間に渡る日本訪問では、東京消防庁なども視察します。日本の災害時などの救急医療体制を学ぶことで、台湾のシステムの改善に活かせる点があれば、取り入れていきたい」と話していました。
 視察を受け入れた山口センター長は、「長年にわたり、台湾の救急・消防関係者は当院に信頼と期待を寄せてくれている。今後も交流を深めたい」と話しています。

※1 NBC災害: 核物質「Nuclear」、生物剤「Biological」、化学剤「Chemical」によって引き起こされる災害
※2 当院は、東京都からNBC災害に対応する東京DMAT特殊災害医療機関(都内3施設の1つ)に指定されています。

 
東京スタジアムの会場医療者統括責任者を務める宮国任期助教(写真左)
東京都災害医療アドバイザーなどを務める山口センター長(写真右)