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杏林大学医学部付属病院の初期臨床研修は、将来選択する専門領域にかかわらず、その土台となる以下の基本的臨床能力の修得を目標としています。
救急の研修は3か月間です。そのうちの1か月間は、欧米型ERに近い形態の一次・二次救急外来で、ATT(Advanced Triage Team)に属し、救急患者の診断と初期治療について学びます。年間救急患者数(一次・二次)約4万人のうち、小児および眼科・耳鼻咽喉科などの専門診療科が直接受ける患者を除く全患者をATTが扱います。したがって、1か月の短期間でも多くの症例を経験し、救急患者の診療能力を身につけることができます(この1か月間以外の、他科研修中にもATT研修が割り振られています)。
2か月間は、高度救命救急センターでの研修です。充実した設備と熱心な指導スタッフのもとで、ハードではありますが、重症患者の全身管理を学ぶことができます。
平成21年の研修制度見直しでは麻酔科は「選択必修」になりましたが、当院では以前と同様2か月を必修としました。この間に、約50例の麻酔を経験し、気管挿管はほぼ確実にできるようになります。毎日ミニレクチャーも行われ、呼吸・循環・体液管理などについて基礎から最先端までの知識を身につけることができます。選択研修でさらに高度の麻酔やペインクリニックについても研修できるため、人気のある研修科目のひとつです。
麻酔科2か月と救急科3か月の研修により、研修終了時には、どのような患者に対しても適切な初期対応ができる医師に育っていきます。豊富な患者数・手術件数が充実した研修を支えています。
三鷹市・武蔵野市・調布市医師会の協力を得て、特定機能病院である大学病院では学べない地域医療の使命と実際を学ぶことができます。また、長崎県の対馬や五島列島、および高知県の病院で僻地医療の研修をすることも可能です。
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大学病院ではプライマリケアを行っていないので、初期臨床研修には不向きである、という意見があります。これは「プライマリケア」という言葉の意味の曖昧さによる誤った認識であると私たちは考えています。高度な専門医療は、しっかりした基礎の上に成り立っていますから、研修医は各専門診療科をローテートする間に、この基礎の部分(研修の理念に示した8項目)を身につけていくことができます。
また、特定機能病院であっても、特殊な疾患の患者さんばかりではなく、むしろ大部分はcommon diseaseであり、厚生労働省の定める「経験目標」(経験が求められる疾患・病態)の88疾患のほとんどを2年間で経験することができます。
平成19年4月に、病棟の一角にクリニカル・シミュレーション・ラボが開設されました。気管挿管、心肺蘇生、中心静脈カテーテル挿入、採血などの侵襲的な手技を、シミュレーション機器を用いて上達するまで繰り返し練習することができます。
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すでに多くの病院や団体が指導医のための講習会を開催していますが、当院も平成16年秋から22年5月までに12回の「指導医養成ワークショップ」(指導医のための1泊2日の研修)を行い、234名の指導医が厚生労働省医政局長の印の入った修了証を授与されています。ロールモデルとなる指導医が各科におり、指導を受けることができます。
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卒後教育委員会(=研修管理委員会)には、医師だけでなく看護部長・副部長、事務部長・課長、リスクマネージャー、外部委員が参加して意見交換をしています。オリエンテーションや研修途中で行われる勉強会でも看護師、リスクマネージャー、検査技師、放射線技師など多くの職種が協力します。また、上記の指導医ワークショップには第1回から毎回看護師や様々な職種の職員も参加して医師と同じグループで討論に加わっています。このように、病院全体で研修医を育てる体制と文化があります。
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