卒業研究が新聞で紹介

朝日新聞の取材を受けて〜


              



保健学部社会福祉学研究室
講師   熊井 利廣

 『子育て不安 やがて感謝に 本紙「ひととき」女子大生が研究』。こんな見出しで、保健学部社会福祉学研究室の卒業研究が、2004年1月16日の朝日新聞朝刊で紹介されました。記事のほかにグラフや写真も掲載されました。

 研究に取り組んだのは、社会福祉士をめざす山口奈緒子さんと養護教諭志望の若山美樹さん。テーマは、「朝日新聞『ひととき』欄にみる母親の育児意識の分析」。

 「ひととき」は、ほぼ毎日掲載される女性だけの投稿欄です。ふたりは、それを10年間分すべて通読し、子どもや子育てに関する投稿を抜き出して主旨を分析したのです。

これによって、子育てまっ最中から子育てを終えた母親まで幅広い年代を横断して率直な意識を探ることができ、世代間交流などシニアの子育て支援参加の意義の実証につながりました。

    取材のきっかけは、学生が送ったメールです。「ひととき」には何本の投稿が寄せられるのかなど、いくつかの質問を送ったところ、早速、学芸部の記者の方から返信がありました。質問への回答とともに、取材依頼でした。取材にみえたのは暮れも押し詰まった、12月26日でした。

 記者の方がびっくりしていたのは、研究結果もさることながら、ふたりが10年間分3,530本を通読し、1,445本について主旨を要約するという膨大な作業をやり遂げたことでした。また、単にデータとして集計するのではなく、1本1本の投稿に心を寄せ母親たちの悩みや喜びを理解しようとしたふたりの姿勢に対してでした。

 それが本文約1,600字に及ぶ詳細な記事として掲載された理由ではないかと思います。

学生は取材を振り返って、こう語っています。

「記者の方は私たちの話を、ひとつひとつうなずきながらきいてくださいました。記事を見たときは、うれしくて有頂天になっていましたが、反響の声を聞いて『今まで頑張ってきてよかった』と思い、自分をほめてあげました。」(若山)

 「研究はとても大変でした。けれど、投稿には自分自身の人生を豊かにしてくれるヒントがたくさんあり、様々なことを学ぶことができました。新聞記事になったことも光栄です。最後の学生生活、実のある研究ができてとてもうれしいです。」(山口)

 社会福祉は、ひとりの人間の人生に向き合っていくことから始まります。これからも、学生自身が豊かな心をもてるような、そして、社会で実際に役立つような研究に取り組んで行きたいと思います。

 
グラフはこちら(PDFファイル)
 ・子ども・子育てに関する記述のある投稿本数
 ・投稿内容別本数(10年間)
 ・投稿者の年代別本数(10年間)
 ・投稿の対象となっている子どもの所属別本数