元日銀総裁の三重野教授最終講義


                     

  5年半にわたって本学の大学院と学部で教鞭をとってこられた元日銀総裁で大学院国際協力研究科の三重野康教授が今年度で教壇を去ることになり、1月14日(水)午後八王子キャンパスで大学院での最終講義を行いました。

  三重野教授(79)は、平成元年から平成6年までの5年間にわたって日本銀行総裁を務められた後、平成7年から平成11年まで本学の社会科学部・総合政策学部で客員教授として、さらに平成14年からは大学院国際協力研究科の客員教授として、「日本産業論」、「日本経済論」、「国際金融特論」の授業を担当されてきましたが、今年度で本学の教壇を去ることになったものです。

  「お別れ講義」となった1月14日(水)の講義で三重野教授は、最初に構造調整による景気の回復について講義したあと、「日本銀行総裁の5年間を振り返って」と題して特別講義をしました。三重野教授は、この中で中央銀行としての日本銀行がそれぞれの経済状況でどのようにして対応するのかについて、日銀総裁を務めた5年間を例にとって裏話やエピソードを交えながら解説しました。日本の金融政策の最高責任者の説明だけに非常にわかり易く、大学院生は熱心に講義に聞き入っていました。また三重野教授は、日本銀行が日本経済に対してだけでなく世界経済に対しても如何に重要な役割を持っているかについても強調しました。
     
  最後に三重野教授は、出席した大学院生へ向けて、「人生はめぐり合わせの連続であり、そのことを大事にして目の前の物事から逃げないようにすることが大切である。いやな事などから逃げて人生を終えるのと、「逃げるな」と自分に言い聞かせて物事に真正面から向きあって人生を終えるのとでは大きな違いがある。目の前の仕事を大事にし、その仕事に対してプロになる心構えが必要だ。その場合でも相手の立場を思うゆとりは必要。また与えられた仕事だけでなく、いろいろな本を読み、自分を深めることも重要である。」と語り、最後の講義をしめくくりました。

  この最終講義を聞いていた留学生を含む大学院生たちは、最後に三重野教授に感謝の気持ちを抱きながらお別れしました。