学部創設20周年を迎えて 総合政策学部・社会科学部長
千葉 洋杏林大学「社会科学部」は昭和59年、総合的・学際的 な視点から、与えられた問題を多面的・多角的に把握・検討し、有効な問題解決を積極的に進めうる人材を育むことを基本理念として創設され、この4月で21年目を迎えました。 さらに平成14年にはそれまでの総合的・学際的な学部の特性を補足・展開する目的から、政治・経済・経営・法律・行政等の分野に加え、新たに環境・福祉・ITといった分野をも包含した、より器の大きい学部として再編しました。学部名を『総合政策学部』と改称し、この4月で3年目を迎えました。
これは大学への社会的要請の急激な変化や昨今における少子化の問題などに充分対応すべく、より魅力のある学部に展開・改変するための取り組みの一つとして行ったものです。
この際私たちが最も留意したことは、時代の大きな流れのなかで、社会の要請の変化やニーズには敏感に対応し、改変すべき事柄、タイミングに躊躇があってはならないものの、守るべきことは断固として守らねばならない、ということでした。したがって自らの個性に相応した、柔軟かつ個性豊かな専門分野や知識を、学生一人一人が、自らの力で確保できる能力が身につく教育を目指すという、これまでの学部の基本的な教育理念や、また person to person といった手作りの教育を目指した理念などには、学部創設以来これまでいささかの変更もありません。
これこそがまさに私たちがこれまで培ってきたという自信と誇りを持っている、学部としてのアイデンティティに他ならないからです。
このたび私たちは、学部創設20周年を記念して、二つの企画を試みました。一つは新田 敏教授をはじめとする20周年記念刊行物編集委員会による、20周年記念刊行書の発刊で、一つは松田和晃教授をはじめとする20年史編纂委員会による『杏林大学社会科学部・総合政策学部20年の歩み』の発刊です。このうち前者の刊行物『入門 社会のしくみ―複雑な世の中を理解するための道具箱』は、学部のアイデンティティのもと、「社会科学」 あるいは 「総合政策」を標榜する学部に集った私たちが、総合的・学際的な視点から、政治・経済・経営・法律・行政・環境・福祉などからなる社会科学の分野にいかに接近あるいは展開もしくは伝えてゆくべきかという、私たちの長年の共通の課題・命題に、すべての専任教員が一応の回答を世に問うことを目的として企画したものです。
激変しつつある社会的要請にあって、学部創設20周年を機に、これまで培ってきたことをもとにさらなる着実な発展を達すべく、私たちは一丸となって邁進してゆく覚悟であります。
是非とも皆様の温かいご支援をお願いする次第です。
平成16年11月 ![]()
20周年を記念して発刊された『社会のしくみ』(左)
と『杏林大学社会科学部・総合政策学部20年の歩み』