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外国語学部教授 本田弘之 |
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今年も9月4日から19日まで、中国広東省深セン市の深セン職業技術学院にて、「海外日本語教育実習」がおこなわれました。
杏林大学外国語学部では、毎年、日本語教師をめざす学生が現場で実践経験をつむことができるように、日本語教育実習を開講しています。
この実習科目は杏林大学の別科の教室で、一学期間をとおしておこなわれる『日本語教育実習T』と、休暇中に校外において集中形式でおこなわれる『日本語教育実習U』があります。
どちらも、じっさいに日本語を学んでいる学生に協力してもらい、日本語を教える練習をさせてもらうのですから、日本語教師養成課程の「授業」の一部であるとはいっても、自覚と責任をもって実習にあたることが要求されます。
そのため、この実習に参加するには、「日本語教授法演習-1/2」で優秀な成績をあげ、さらに「日本語教育実習T」で指導をうけて、担当教師がその能力と努力を認めなければ、「日本語教育実習U」に参加することはできません。
昨年に引きつづき、実習をさせていただいた深セン職業技術学院は、その名のとおり職業教育を専門とする、日本でいえば短大と高等高専と専修学校を総合した学校です。実習はその学校の応用外国語学部でおこなわれました。
現在、深セン・広州を中心とする珠江デルタには、7000ともいわれる日系企業が進出していますが、日本語ができる人材の養成が追いつかず、企業の人材争奪がますます激しくなっています。
そのため、学生も在学中に「使える日本語」を自分のものにすれば、好条件で就職することができるのです。そのような、学習モチベーションの高いクラスに入って日本語を教えるのですから、杏林大学の実習生には、かなりのプレッシャーがかかります。
今年、参加したのは、7セメスター4名・5セメスター9名の13人でした。すでに述べたとおり、この実習に参加するためには、事前にかなり厳しい指導をうけ、また学内で経験をつんできました。
しかし、現実の教室で日本語を教えることは、そうとうに厳しく、実習生のなかには引率教員の前で泣きだしてしまったり、教室で授業が止まってしまい立ち往生してしまった者もありました。
しかし、そんな苦い経験がなによりも、いい勉強になったと思います。そして、そんな実習生をやさしく指導し、見守ってくださった、深セン職業技術学院と応用外国語学部の先生方には、ほんとうに感謝の気持ちでいっぱいです。
今回、実習に参加した学生は、帰国後、海外での就職をめざして活動をはじめたり、まだまだ足りないところがあることを自覚し、勉強をはじめたりしています。
今後も努力をつづけて、ぜひ、日本語教師をめざしていってほしいとおもいます。 |
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≪学生の声≫ |
実習の感想 |
外国語学部8セメスター 星田英子 |
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三週間という短い実習でしたけど、多くのことを学ぶことができました。
授業では、自分の未熟さや、知識不足、力不足で、生徒たちに迷惑をかけてしまいました。けれど、それでも生徒たちは一生懸命授業に参加してくれて、友達としても接してくれました。
あらためて、ただ教えるだけが授業ではなく、一人一人とのコミュニケーションがあってこそ授業というものが成り立つのだと実感できました。
日本語を教えるということの難しさもそうですが、何より今回の実習では人の温かさや人を思いやる気持ちが、人と接するときにどれだけ大切か、身にしみて感じることができました。三週間でしたが、とても勉強になりました。 |
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中国実習の感想 |
外国語学部8セメスター 榎本 麻衣子 |
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「教師になる」
英語の教師を目指して杏林に通い始めて2年が経った頃……やっと知った日本語教師養成講座。
英語の教職課程を履修しながらの副専攻は、正直キツかった…。でも副専攻の私でもチャイナに行って実習してこれました!自分にとって凄い自信になったのは言うまでもありません。
やる気って大事!杏林ってステキ!チャイナの生徒達は一生の宝です。 |
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教育実習に行って |
外国語学部8セメスター 阿部 恵 |
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今回、中国での日本語教育実習に参加して、あらためて「日本語の教師になろう」と強く思いました。
慣れない海外での生活ということもあり、体調を崩したこともありました。それでも中国で過ごした2週間は、私にとって非常に大きなものでした。
学生たちは本当に人懐っこく、親切でした。実習は3回だけでしたが、授業の準備、現地の先生方や他の実習生の授業見学と、毎日学校に通いました。
授業が思うように進められなかったこと。学生たちにうまく伝えられなかったこと。その時は「私は何をやるべきか」という事ばかり考えていて、学生たちの気持ちを考える余裕がなかったのだと思います。 |
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日本語教育実習Uに行って |
外国語学部 6セメスター 山本若葉 |
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私たちは二週間、中国のシンセンというところに行き、日本語教育実習をさせて頂きました。
1クラスを担当させて頂いたのですが、みんなとても真面目で優しくて、私のつたない授業に一生懸命耳を傾けてくれました。ひとりで授業をするのは始めてだったので、うまくできなかったところもたくさんありましたが、とても良い経験になったと思います。
学生たちとは、授業の時だけではなく、放課後に遊んだり、食事に連れて行ってもらったり、プリクラを撮ったり、時には恋の話をしたりと、たくさんの時間を過ごしました。最後の日には、みんなと別れるのが嫌で、日本に帰りたくなかったくらいです。
技術的なところも、異文化コミュニケーションもたくさん勉強できたと思います。学生生活の中でも特に有意義な時間を過ごせました。
本当に日本語教育実習Uに参加して良かったと、心からそう思います。 |
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実習に参加して |
外国語学部8セメスター 小柴 麻衣子 |
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この実習に参加して、教育実習の経験を得ることができただけでなく、自分自身の視野を広げることができたと思います。
教育実習では40人近いクラスを一日100分教えるということで、様々な困難に直面しました。教え方や、授業の工夫を夜遅くまで考え、教師をすることの難しさを実感しました。反対に、生徒の笑顔を見たり理解してもらえると、次の授業の励みになり楽しさも感じました。
また、二週間中国に滞在することによって、その土地の日常の文化に触れることができました。買い物に出かけたり、タクシーに乗ることでさえ日本と違う発見がいくつもあり毎日がとても充実していました。
教育実習を通して、日本語という語学だけでなく、中国とは違う日本のなにかを生徒に感じ取ってもらえたのではないかと思います。私もまた、中国の知らない部分に触れることができ、貴重な体験をすることができた実習だったと思います。 |
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2005.10.12 |
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