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神経内科・千葉助教授のグループ、急性小脳炎の抗体を発見
米国の医学雑誌で大きく紹介
 このほど、第一内科(神経内科)の千葉厚郎助教授と内堀歩非常勤臨床助手の研究グループが急性小脳炎の抗体を発見し、神経内科ではもっとも権威のある医学洋雑誌"Neurology"の最新号65巻1114ページ(10月11日号・左写真)に載り、さらに今月のハイライト欄でも紹介されました。
 紹介された研究や今後の抱負について千葉助教授に伺いました。


 私共のグループは感染後の免疫反応により惹起される神経疾患の発症機序の解明を主要なテーマとして研究を進めています。
 特にGuiilain-Barre症候群における抗糖脂質抗体の研究に関しては、その亜型であるFisher症候群においてガングリオシドGQ1bに対する抗体の特異的上昇を発見し、これは「出現する自己抗体の抗原特異性と抗原分布によりGuiilain-Barre症候群の臨床症状が規定される」という考え方の一つのモデルとなっています。
 今回私共はGuiilain-Barre症候群と同様に感染症後に急性の神経症状を呈する疾患である、急性小脳性運動失調症に関して自己抗体の検索を行い、解糖系の酵素の一つであるトリオースリン酸イソメラーゼ (TPI)に対する抗体が約3分の1の患者で急性期血清中に上昇することを見いだし、Neurology誌に報告しました。
 これまでこの疾患における自己抗体についてその抗原を分子レベルで同定した報告はありません。
 抗TPI抗体は神経症状出現前より既に上昇し始め神経症状発症の頃にピークに達し、また患者血清中に見いだされる抗体は小脳のTPIとの反応性が高い可能性も示唆されています。
 これらの観察からはこの抗体が小脳失調発症に何らかの病因的意義を有する可能性も考えられます。
 今回の新知見は病態解明の端緒に過ぎず、今後さらに本抗体と疾患との関わりについて検討を進めたいと考えています。
 (第一内科・神経内科 千葉厚郎)

2005.11.1
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