解剖学会総会で、本学 学生が2題を発表
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 平成17年3月29から31日に開催された第110回日本解剖学会総会・全国学術集会(会頭:富山医科薬科大学、大谷修教授)において、大学院生ならびに学部学生を対象とする学生セッションが設けられ、全国から50題を超える発表が寄せられました。
 本学からも2年目学生による2題が発表され、6名のM2学生が参加して活発な討論や意見交換に充実した時間を過ごしました。
 学生の学会参加は従来もありましたが、学生セッションを設けるのは解剖学会としても初めての試みであり、旅費や保険などの課題はあるものの、今後も継続して行うことが前向きに検討されております。
 学会では優秀課題表彰や、学会誌への抄録・短報掲載行うことにしており、ともすれば国試勉強に偏向しがちの現代の医学生に「解剖学研究の楽しさに触れてもらう」という方針のもと、このような試みをさらに推し進めていく計画としております。
 今回の学生参加に際しては、本学の教務・学生部をはじめ、関係者にご高配を賜りました。この場をお借りして御礼申し上げる次第です。

解剖学教室(肉眼) 松村讓兒

第110回日本解剖学会に参加して

 3月29日から30日に富山で開催された解剖学会総会において、私たちは「右前腕屈側にみられた2カ所の破格筋束」というタイトルで発表を行いました。

 今回の発表は、昨年の実習中に発見した前腕筋の変異が教科書には記載がなかったことから、この変異について学会発表してはどうかというお話を頂いたもので、自分たちにできるかという不安もありましたが、貴重な経験だという思いも強く、思い切って参加することにしました。

 後期試験終了後の2月中旬から解剖学に出入りし、本格的な準備を始めました。標本の写真撮影や模式図作製の傍ら、関係論文を収集し、どの報告と似ている症例かというディスカッションをくり返し行いました。
 何十もの論文にめげそうになりながらも、片方の変異については20年以上も前の論文に報告されていた「深橈側手根屈筋」と類似の例だという結論に至りました。しかし、もう一方は関係あると思われる報告がなく、肉眼所見でみる限りどの報告とも一致しませんでした。

 学会前の3週間、所見の見直しや解釈の修正に追われながらも「完成した」と言えるところまで漕ぎつけた気分は格別のものでした。それでも「誰も興味を示してくれないのでは」とか「専門の先生から突っ込まれるのでは」といった不安を抱きながら富山へ出発しました。


 私たちの発表は、大学の体育館を用いたポスター展示形式で行われました。学生の参加は、杏林大学の他、新潟大学、順天堂大学、埼玉医科大学、富山医科薬科大学などからもあり、大学院生による詳細な研究や私たちと同様の破格例、ジャイアントパンダの臼歯の構造、といったものまで多彩で興味深い報告が多くみられました。

 当日、最初は私たちのセッションに来られる方はさほど多くなかったのですが、夕方の討論の時間には大勢の方々が押し寄せ、班員総出で説明しても追いつかない状況となり、それまでの「あまり興味を持たれないのでは」という不安は一掃されたどころか「うれしい悲鳴」となりました。
 他校の先生方からも、気づかなかった点のご指摘や「立派な発表だ」というお褒めの言葉を頂き、終了予定時間を30分以上も超えて、最後まで会場に残ることとなり、充実感を味わうことができました。


 夕刻には学生交流会があり、学会参加のいきさつ、お互いの発表内容の感想、授業や実習の様子などの話で盛り上がりました。交流会の最後には「解剖学用語しりとり」が行われ、杏林からは白石尚基先生が抽選で選ばれて参加、学生に混じって準優勝(優勝は新潟の女子学生に譲り)という快挙をなしとげました。
 また、翌日の夕方には懇親会があり、こちらでは教科書や論文で名前にふれていた有名な先生方にお会いでき、サインなども頂くことができました。他校の学生には「松村先生はどこ?」と訊かれ、意外に有名なのに驚いたりしました。

 学会というと、どこか近づきがたい場所という気がしていましたが、参加してみると学生でも気軽に迎え入れてくれるということや、ほとんど見尽くしていると思っていた解剖学の分野でも、見たことのないものや新しい発見はまだまだあるのだということが実感できました。


 最後に、このような貴重な体験の機会を与えてくださった杏林大学、解剖学教室、そして事務局の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。            

 (学部学生 柿本光、氣賀澤秀明、大森康宏)
日本解剖学会全国学術集会参加報告
 第110回日本解剖学会総会・全国学術集会が、平成17年3月29日から31日に富山医科薬科大学で行われ、昨年の解剖実習班から2班6名が参加しました。
 私たち3班からは桐渕英人、清水麗子、渡邊崇靖の3名が出席を希望し、一路、春の富山へと向かいました。今年の解剖学会全国集会では、富山医科薬科大学の大谷修先生(会頭)の発案により、学部学生でも発表できる機会が学生セッションとして設けられ、私たちはポスター展示というかたちで発表をしました。

 発表演題は「上腕の動脈分枝にみられた破格例:浅上腕動脈および重複後上腕回旋動脈」というもので、昨年の実習で図譜や教科書とはまったく異なる走向を示す動脈を見つけだしたことに始まるものです。
 実習のご遺体で血管の走り方が図譜と違うことは気がつきましたが、最初はそれが何の意味があるのか分かりませんでしたし、むしろ「実習試験の時にこれが出たらいやだな」ぐらいしか思いませんでした。
 でも、白石尚基先生から「これは珍しいね、ご遺体に感謝しなければね」と言われた時には何となく嬉しくなったのを記憶しています。


 さて、私たちの発表の形式は、ポスター展示を見に来ていただいた方々に研究内容を説明し、質疑応答をするというものでした。
 多数の他大学の先生方にお越しいただき説明したところ、模式図の描き方の不備を指摘されたり、浅上腕動脈の定義についてのご意見を教えて頂いたりしました。
 私たちも春休みを使って過去の文献を調べてきたつもりだったのですが、まだまだ不十分だったことを実感しました。今回、専門家のご指摘やご意見を承りとても勉強になりました。


 今回の学会には学生も多数参加し、初日(3月29日)の夜に学生交流会がありました。その場で他大学の学生や先生方と色々なお話をすることができ、交流を深めたりして楽しいひとときを過ごすことができました。

 今回の学会参加を通じて、一つのことに集中して取り組み、それを自分たちなりにでもやり遂げることで得られる充実感、達成感はすばらしいものであると実感できました。
 まだまだ不十分で至らない点も多かったのですが、それよりも収穫の多い経験だったと思います。この経験をもとにこれからの勉強などに役立てたいと思います。


 最後になりましたが、今回の学会参加に際しては杏林大学事務局や解剖学教室にお世話いただきました。深く感謝申し上げます。                      

(医学部学生 渡邊崇靖、清水麗子、桐渕英人)