古森義久客員教授 入学式祝辞

 杏林学園で新たな学問の門出に臨む皆さん、おめでとうございます。特に外国からの留学生の方々、よくいらっしゃいました。またその学生の門出を温かい努力で支えてこられたご家族の皆さま、おめでとうございます。この栄えある入学式に臨み、私共教職員一同も心からのお祝いを申し上げます。私自身も大学院国際協力研究科の客員教授として、他の教職員の方々の後塵を拝しながらも、皆さんの勉学に最大限の寄与をしたいと思い胸を高まらせております。

 皆さんが入学した大学院3研究科も4学部も看護専門学校も皆、それぞれの分野で最高学府であります。しかも皆さんにとって多数の大学の中から、敢えて自分で選んだ相手の杏林学園であります。その杏林で、これからの数年皆さんは自らが選んだ学問の道をひたすらに前進し、その後の限りない未来に向かって大きくはばたくこととなります。この数年間は皆さんの長い人生でも、おそらく最も貴重で最も充実した年月となるでしょう。この期間に学び身に付けたことが、その後の長い人生での飛躍には最も重要な基礎となっていくことでしょう。

 杏林学園の建学の精神「真・善・美」と重なりあうような価値観に立って、私は皆さんに自分自身を育て高めることの目標として、「強く、正しく、優しく」という人間の在り方を勧めたいと思います。「強く」とは、まず知識を増すことです。知は力です。知っているかいないかは、医療や看護を例に取れば文字通り生と死を分けるほどの違いとなります。個人個人の能力を見ても、学習や練習は不可能を可能にします。それまで出来なかったことが、新たな知識を得ることによって出来るようになるわけです。皆さん自身にとって、これこそ新しいパワーです。「正しく」とは、人間なら誰でも知っている善悪の区別にはじまって、個人の私(し)、つまり私(わたくし)だけでなく、人間が集団となった公(こう)、つまり公(おおやけ)をも考えることです。社会とか国家という概念をも、じっくりと見据えることです。自分が個人として欲することだけをしていては、決して正しい行動とはなりません。感情よりも理性を優先させることでもあります。「優しく」とは、ごく自然な家族や友人への思いやりからはじまるでしょう。弱い人、恵まれない人の立場を理解しようとする心でもあります。自分自身を含めての人間の弱さ、人間の脆さを認識することでもあります。そのことが強さにつながっていきます。さらには、自然の豊かさや芸術の美しさを感じ取ることも、優しさの重要な部分です。

 何を当たり前のことをと皆さん思うかもしれません。中学生や高校生に聞かせる言葉のように思うかもしれません。しかし、人間が生きる上でのこうした基本の指針は、私自身大学を卒業してもう40年以上、世界各地で暮らし働いてきた今でも、年齢や時代を超えて追求すべき目標だと痛感するのです。そうした目標を意識すると同時に、皆さん杏林学園での学生生活を楽しむことも心がけてください。新しい友や部活動の場を得て、学生らしい自由や趣味をも満喫してください。肉体を健全に保ち、鍛えることも忘れないで下さい。そして将来、皆さんが杏林学園で高等教育を受けたことが大いなる誇りとなるようお互いに頑張りましょう。これからの新しい季節、学園のあちこちで皆さんと顔を合せることを私も楽しみにしています。それでは以上をもって、教職員の側からの祝辞を終わります。どうもありがとうございました。

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