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「杏園祭」   「杏奏曲」という名のコンチェルト

いまから20年ほど前、80年代に大学生活を送った私の世代は、学園祭が「イベント化」しているとの批判を上の世代から受けたものである。オピニオン・リーダーを招いてシンポジウムを開催し、活発な意見をたたかわせた世代の学園祭とは異なる雰囲気がそこにあったのであろう。私自身、学園祭の企画そのものに関わったことはないし、学園祭の期間中は下宿に閉じこもっていた学生も多かっ
たように記憶している。

たしかに、当時から学園祭で「天下国家」を論じる雰囲気にはなかった。今の学生にそれを求めることも難しいであろう。本学に限らず、学生の関心が内向きになり、学生の人間関係も必ずしも所属する大学を中心につくられているとは限らない。学生によっては、学園祭よりも愉快な「イベント」は学外にあるのかもしれない。学園祭のあり方や意義は時代とともに移り変わるであろうし、個々の大学の個性があってもよい。

教員と学生との「パーソン・トゥ・パーソン」の理念に従って、少人数制教育を徹底していることは本学の「強み」である。しかし、それは、ゼミナール、部活を越えた「横」の繋がりをもつことによってさらなる「強み」となるであろう。杏園祭こそ、教員あるいはゼミナールの先輩後輩という「縦」の関係とそれを越えた「横」の関係が、文字通り「縦横」に発展する大きな機会となる。

昨年の杏園祭が「見るだけ」から「触れられる」学園祭へと根本的な見直しを行ったのもそのためであろうし、それは大きな成功を収めた。さらに、杏園祭実行委員会(会長一一外国語学部渡辺大君)が本年のテーマを「杏奏曲」としたのも、学生全員がひとつのコンチェルトを奏でるような学園祭にしようという強い意志の表れであろう。しかし、オーケストラが指揮者だけでコンチェルトが奏でられないように、実行委員会だけでは「杏奏曲」は奏でられない。その第一歩は、杏園祭のウェブ・サイト(http://www.h3.dion.ne.jp/~kyoensai/index.htm)にアクセスすることであろう。秋に学生手作りのコンチェルトが聴けることを期待している。
                                           (杏園祭担当 倉田 秀也)