浅草校外研修
別科日本語研修課程 崔 偵允

 もう5月だ。まだ夏でもないのにこの暑さだ。こんな時期に校外研修はちょうど良かったと思う。ディズニーランドや京都ならいいなと思っていたので、違うと分かり、見学当日、私は集合時間に遅刻をしてしまった。 
 バスガイドは話し方や、アクセントが韓国のガイドと似ていて、面白く聞こえた。日本にいるのに韓国にいるようで懐かしくも感じ、だんだんこの研修が楽しく感じてきた。

 浅草では自由行動の時間があり、一番奥にある本堂に向かった。本堂の前で香を燃やし、その煙を身体につけている人たちがいた。韓国のテレビで見たことがあったので嬉しくなってやってみたが、匂いがあまり好きではないのでマネだけしてみた。
 何か水を飲むところがあった。皆が飲んでいたのを見て、それが長生きのためと思い、とにかく一杯飲んだ。すると小さな女の子が声を掛けてきて、「始めの一杯は左手を洗い、二杯目は口の中を洗う、それから水を飲むのよ」と教えられてしまった。
 一緒にいたカナダ人の友達にその理由を聞くと「人間は手で悪いことをしたり、口ではたくさんの悪いことを言うから洗うんじゃない」と言われ、本当にありそうな話しだと思った。

 本堂では家族の健康や、私が勉強でよく頑張ることを祈った。その後お土産を買いに仲見世へ入った。一番面白かったのは“人形焼き”だった。鯛焼きは韓国にもあるが、人間の顔をした焼き物は見たことがなかったので珍しかった。寂しそうなおじいさんや、おばあさんの焼き物はかわいそうで食べられなかった。
 カナダ人の友達は甘い“人形焼き”が好きらしかった。

 初めは子供の遠足のようであまり期待はしなかったが、時間が経てば経つほど好きになってきた。それを最後に仕上げたのは、帰りのバスでクラスメイトのモンゴル人の女性がうたった歌だった。
 もちろん私は何の意味かも分からないまま聞いていたが、とても心に残るものだった。またいい思い出ができたと思う。
 学生時代に行けるこの旅は多分これで最後になるのだろう・・・。何人かの友達で行くのもいいが、もう一度わくわくして前日に眠れない旅、学校皆が行く旅に私も絶対行きたい。