解説 インパクト・ファクター


Thomson−ISI社が提供するインパクト・ファクターは、
学術雑誌の影響度を計るひとつの指標として世界中で利用されています。


インパクト・ファクターは、Journals Citation Reportsの中のひとつのデータです。
これらは文献に付与する引用文献・参考文献をもとに算出されますが、
ひとつの雑誌を「引用する側」「引用される側」で使い分けるために混乱しやすく、
したがって算出対象や計算式についてもしばしば誤解が起きています。
そこで以下に簡単に解説します。

【例:A誌の2001年のインパクト・ファクターを調べる】

まず、2001年版のJCRを使います。
2001年のインパクト・ファクターは、2001年に発行された雑誌の文献に
付与された引用文献・参考文献を集計した値を使います。
下図でみると、左側にある「2001年に発行された雑誌の文献」の部分は、
従来のMEDLINEやPubMedなどの文献データベースが索引とする部分です。
ISI社のデータベースは、引用文献も検索の対象となるため、
右側の「その引用文献」の集合も索引され、検索対象となります。
これがISIデータベースの特徴であり、メリットであるのですが、
混乱しやすい部分でもあります。

インパクトファクターの計算式は
「その年に引用された文献のうち、過去2年に発行されたものの数
 ÷過去2年に発行された文献数」です。

その場合、対象は、「2001年に発行された雑誌に付与された引用文献」となります。
そこで2001年に発行された雑誌の文献に付与された引用文献を、「雑誌ごと」
さらに「発行年」ごとに集計します。図の例では、A誌は2001年には500件の引用が
あったことになります。そのうち「過去2年に引用された数」にあたる2000年と
1999年に発行された引用文献は、2000年で60件(=a)、1999年で90件(=b)、
合計で150件となります。これが計算式の分子(その年に引用された文献のうち、
過去2年に発行されたものの数)にあたります。

次に「過去2年に発行された文献数」は、ISI社が文献と認めたものの数となります。
ここではレターや会議録などは対象となりません。
図の例では、2000年では45件(=X)、1999年では40件(=Y)合計で85件となります。
これが計算式の分母(過去2年に発行された文献数)にあたります。

この例のインパクト・ファクターを算出すると...



となります。
過去2年分というと、「前年と前々年に引用された文献すべて」と理解されがちですが、
その意味ではありませんので、ご注意ください。

    インパクト・ファクターは、俗に「過去2年に引用された数を、
その年の発行数で割る」といわれます。ここでいう過去2年
とは、「ある雑誌について、過去から現在まで引用された中
の過去2年分」を意味します。したがって、2001年のインパクト・
ファクターでは、引用された文献の発行年が2000年と1999年
のものしか対象にしません。いくら1995年の文献が多く引用
されていても、それは対象外となります。

引用対象年数を2年ではなく、例えば3年または5年としたら、
インパクト・ファクターの結果は確かに今とは異なると思われます。
ではなぜ2年とするかというと、それは科学分野の論文は、
出版されて1〜2年経過したものが一番引用されやすいからです。
 
とはいえ、一律に2年という妥当性については、確かに論争の的でもあります。分野または地域によって、
引用対象年数は異なることも想像されるからです。そういった観点からも、インパクト・ファクターは、
あくまで雑誌の影響度を計るものであり、著者の業績の評価を計るものではないということを理解して
おく必要があります。