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■□■杏林大学医学図書館ニュース■□■ 第74号 2018.7.2配信

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□Contents□
■ご挨拶■ 
■図書館からのお知らせ■ 
■お勧め図書■ 
■図書館課長の気ままな報告■ 
■図書館員のひとりごと■ 
■編集後記■ 

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■ご挨拶■
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図書館でも蝉の声が聞こえるようになったと思っていたら、なんともう梅雨があけ夏がや
ってきました。夏は「やってくる」感じがします。梅雨があけると夏になるという流れが
そう思わせる理由のひとつでしょうか。よくできた季節の移り変わりです。
さて今回のメルマガは全てのコーナーが図書館にまつわるものとなりました。どうぞおつ
きあいください。

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■図書館からのお知らせ■
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・学生対象の長期貸出が始まっています
6月30日から夏休みの長期貸出を開始しました。
対象は図書のみで、返却期限は9月19日(水)です。
現在借りている図書も、返却期限が切れておらず他の予約者がいない場合は更新手続きを
すれば長期貸出の対象となります。お早めに手続きをお願いします。

・[7月19日まで]Visible Body(バーチャル解剖学)トライアル
解剖学アトラスと基礎的な生理学を解説する3Dアプリ「Visible Body(ビジブル・ボデ
ィ)」をトライアル中です。
スマートフォンやタブレットでも利用できるので、期限までにぜひ1度お試しください。
トライアルの詳細はこちら

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■お勧め図書■
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世界図書館遺産

『世界図書館遺産 : 壮麗なるクラシックライブラリー23選 / ギヨーム・ド・ロビエ写真
; ジャック・ボセ著 ; 遠藤ゆかり訳. -- 創元社, 2018.』
(請求記号 : 012:Se22 / 資料ID :0010379097 )

古代最大の図書館といえば、紀元前にエジプトのプトレマイオス1世が建てたアレクサン
ドリア図書館。世界中の文献を集めた知の殿堂として、その建物が失われた後も憧憬の的
となったのでした。学生時代に図書館建築の授業で習いました。
今回ご紹介するのはヨーロッパ、アメリカの美しい図書館を写真と解説で紹介した本です。
王や修道院など、時の権力者が作った図書館は宮殿のように華麗な装飾を施され、その中
に収めた書物が当時いかに重要な価値を持っていたのかを感じさせます。書物がどのくら
い貴重だったかというと、書見台に鎖でつながれるほどだったのです。鎖につながれた書
物の様子は、この本のロシア国立図書館の写真で見ることができます。
数々の美しい図書館の中でも、私が行ってみたいと思ったのはポルトガルのマフラ国立宮
殿図書館です。修道院内の図書館として設計されたときには華麗な装飾を施される予定で
したが、依頼主である王家の財政問題で中断しているうちに王も管理者の修道会も変わり
ました。その結果、装飾は減り金箔の代わりに白い塗料を塗ることになってしまいます。
白い塗料は経年変化によって淡い色合いになり、この本で紹介されている写真では飴色の
空間が広がっています。暗くなると頭の白い蝙蝠が飛ぶそうです。図書館の守り神といえ
ば白いフクロウをイメージするのですが、蝙蝠もいいですね。
そういえば、現在のエジプトには2001年に完成した新アレクサンドリア図書館があります。
この図書館の守り神はきっとスフィンクス、と妄想を膨らませています。(ふ)

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■図書館課長の気ままな報告■ 「医学図書の分類」の巻
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医学図書館の専門書は「米国国立医学図書館分類法(NLMC)」というアメリカで作られた
医学書のための分類法を採用しています。
NLMCの分類記号はアルファベット2文字と数字の組み合わせで構成され、最初のアルファ
ベット2文字で大まかな分野を表します。例えば小児科であればWS、眼科であればWWです。
医学図書館では、3階と4階にある図書がNLMCで分類されていて、本の背に貼ってあるラベ
ルに分類記号が記載されています。

NLMCの日本語翻訳版は1996年に発行されて以来、長いこと改訂されないままでいましたが、
だいぶ内容も変わってきたし、そろそろ新版が必要ということで、日本医学図書館協会が
3年の歳月をかけて翻訳作業を行いました。そして約20年ぶりの2017年に新版が発行され
ました。今回は膨大な医学用語の、英語とそれに対応する日本語を電子的なデータとして
残すという、20年前にはできなかったことが実現でき、次のステップとして、そのデータ
ベース化を目指しているところです。

『米国国立医学図書館分類法日本医学図書館協会編. -- 2016年版 日本語版. -- 日本医
学図書館協会, 2017.』
(請求記号 : 014.46:B32 / 資料ID :0010368918)

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■図書館員のひとりごと■  図書館建築散歩
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吉祥寺駅北口にある武蔵野市立吉祥寺図書館が、今年の4月にリニューアルオープンしま
した。
内装がすっきりきれいになっているのですが、建物はそのまま残っていて外観は変わって
いません。この建物は、図書館界では有名な日野市立中央図書館をはじめ、数多くの図書
館建築を手がけた鬼頭梓が1987年に設計したものです。建物の角にあるケヤキの木と、そ
れを囲むように湾曲した窓が印象的です。中に入るとその湾曲に沿った書架があるのもま
たいい。そして、地下1階に一般図書が置かれていますが、地下でありながら1階への吹き
抜け部分の窓から光が入る構造がなんとも言えず落ち着く空間にしています。吉祥寺駅か
ら徒歩3分という立地にあり、まわりの建物との距離も近いため一見これといって特徴が
ないかのようにも見えるのですが、よく見てみるとやはりこの図書館は魅力的です。

設計者の鬼頭梓は、国立国会図書館を設計した前川國男の弟子にあたりますが、その前川
國男の自邸
が武蔵小金井にある建築の博物館「江戸東京たてもの園」に移築されています。
この家は、単純な表現で申し訳ないですが、かっこいい。外から見ても中から見ても全体
を見ても細かい部分を見ても、至るところがかっこいい。戦時中の1942年に建築制限があ
る中で建てられたそうですが、現在でもこんな家に住みたいと思う人は多くいるのではな
いかと思います。
二つの建物は図書館と住宅ですので当然見た目はまるで違いますが、大きな窓から光が差
し込んでくる感じが共通しているような気がしたり・・。こじつけかもしれませんが。

・・・ということで、今回の「お勧め図書」は世界の美しい図書館の本でしたが、ここで
は三鷹周辺の図書館とそれにまつわる美しい建築物を紹介してみました。
散歩には暑い季節ではありますが、気が向いたら足を延ばしてみてください。(ヤ)

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■編集後記■
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「図書館員のひとりごと」で紹介しました吉祥寺図書館は、日本図書館協会主催の「日本
図書館協会建築賞」第5回(1989年)優秀賞を受賞しているのですが、この建築賞に今年
は杏林大学井の頭図書館が応募しています。そして結果は今月発表の予定。期待して待ち
たいと思います。(ヤ)

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