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■□■杏林大学医学図書館ニュース■□■ 第89号 2019.10.2 配信

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□Contents□
■ご挨拶■ 
■図書館からのお知らせ■ 
■お勧め図書■ 
■図書館長の多話ごと(たわごと)■ 
■図書館員のひとりごと■ 
■編集後記■ 

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■ご挨拶■
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暑くなったり急に涼しくなったりの連続で、最近風邪をひいている人が増えている印象
です。のんびりしたい時にはぜひ図書館にお越し下さい。

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■図書館からのお知らせ■
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・10月6日は休館日&オンラインサービス停止
法令による電気設備点検のため10月6日(日)は医学図書館、井の頭図書館ともに休館し
ます。準備のため前日の5日(土)は17時に閉館します。
また、5日17時から7日(月)8時半まではリモートアクセスや文献複写依頼などオンライ
ンサービスを停止いたします。
詳細はHPのお知らせをご覧ください。

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■お勧め図書■
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『LGBTを知る / 森永貴彦著. -- 日本経済新聞出版社, 2018. -- (日経文庫 ; 1389)』
(請求記号 : 336.4:L59 資料ID : 0008073215 )※井の頭図書館配架

図書館で受け入れている『新薬と臨床』誌の8月号でLGBTの特集が組まれていました。そ
の中のLGBTの方の患者体験談を読み、衝撃を受けました。近年、本学でもLGBTの学生さ
んの対応については検討している所であり、私自身もよく理解できていない部分がある
のでこの機会にLGBTの入門書である本書をしっかり読んでみることにしました。

本書によると、LGBTは日本でも左利きの人と同じくらいの割合との調査があり、LGBTは、
L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル(両性愛者)、T=トランスジェンダーで、性
的マイノリティを総称する呼称の1つです。実際にはこれらに当てはまらない性的マイノ
リティがあり、昨今では国際的にはLGBTでなく、すべての性を表す表現としてSOGI、SOG
IE(Sexual Orientation & Gender Identity。SOGIEの場合はGender Expressionを含む)
という表現に置き換えています。尚、Gender Expressionとはふるまう性のことですが、
必ずしも性同一性(自分の思う性)や性的指向(好きになる性)とは一致しません。近
年ではテレビでおネエタレントをよく見かけますが、必ずしも身体の性とは異なる性の
言葉遣いや服装をするわけではないので、そういったイメージを持たれてしまうことへ
の当事者からの懸念もあるそうです。
また、日本はもともと歌舞伎の女形に見るように異性装や同性愛に寛容だったことは意
外でした。大きな変換となったのは明治時代に入ってきた西洋のキリスト教社会の価値
観で、その影響で異性装や同性愛は社会的に許容されにくくなりました。戦後、社会に
出ようとした異性装者や同性愛者の動きもありましたが社会的には歓迎されず、大きな
動きがあったのは1970年代からです。
本書ではこういったLGBTの基礎知識の他、企業からみたLGBTや、職場でのLGBT対応の進
め方についても触れています。

本書を読むと、自分はLGBTに対して寛容だと思っているようで実は理解できていなかっ
た、無知であったことに気づかされます。ただし、本書は企業のLGBT対象のマーケティ
ングについても書かれているためそういった所は読み飛ばしても構いません。その場合
は、「第1章 LGBTの基礎知識」、第2章の「1.企業にとってのダイバーシティとは」と
「2.企業にとってのLGBTの存在」を読んでLGBTやダイバーシティについての知識を得て
から、「第3章【実践】LGBTと向き合う1」と第5章の「1.職場における当事者の抱える
ストレス事例と対応方法」を読むのがお勧めです。そこまで読めないという方は各章末
の「この章のポイント」だけでも読んでざっくり把握するというのでもよいかもしれま
せん。LGBTに対して心得ておくべき事柄がすんなり理解できます。(野)

『新薬と臨床』68(8)の目次、抄録が確認できます(メディカルオンライン)

☆貸出状況はこちらから☆

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■図書館長の多話ごと(たわごと)■ 語尾で表現するニュアンス
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日本語は、語尾(ここでは文の最後という意味)のわずか数文字を変化させるだけで、
その言葉をしゃべっている人の性別、社会的背景、性格、感情などを鮮やかに描き分け
ることができる言語です。
たとえば、「そのとおりでございますよ。三毛のようなかあいらしい猫は鉦と太鼓で探
して歩いたって、二人とはおりませんからね」(『吾輩は猫である』)では、この「よ
」と「ね」で女中さんの発言らしいニュアンスが出ています。これがこの家の奥様なら
「そのとおりでございます。三毛のようなかあいらしい猫は鉦と太鼓で探して歩いたっ
て、二人とはおりませんから」がふさわしいような気がします。

語尾の豊かさでは、大阪を中心とする関西の言葉に優るものはないと信じています。自
分が育った土地なので、えこひいきですが。たとえば、「ありよぅは(注:実情は)、
あした仕入れの油の銭もおまへんねん」(桂米朝「はてなの茶碗」)。これはかつぎの
油屋(行商人)が京の大店(おおだな)の茶金さんに向かって言う台詞ですが、この「
ねん」があることで、「弱りましたワ」という感情や油屋の人となりが生き生きと表現
されていると思うのです。もう1つだけ挙げると、「忘れやな、お前。八百屋言うてるや
ないかい」(桂米朝「くしゃみ講釈」)。何度説明してもすぐに忘れてしまう相手への
いらだち、あきれた感じが「やないかい」です。ちなみに、「忘れ」はもの忘れの激し
い人を意味する名詞です。
例示はもうこのへんにしますが、他にもこんな語尾があります。「~や」「~やん」「
~やんか」「~やんかいな」「~やろ」「~やろか」「~やし」「~やなあ」「~じゃ
」「~じゃわい」「~じゃて」「~しなさる」「~しはる」「~しやる」「~しくさる
」「~しさらす」、とまあ、キリがありませんのや。

ところで、外国語―といっても英語くらいしか知りませんが、英語ではこんな風に文末
を少し変化させてニュアンスを変えるというような技法はないように思います。ひとつ
思い当たるのは、中学の教科書で覚えた付加疑問というやつで、“It’s fine today,
isn’t it?”(今日はいいお天気ですね)という言い方です。もっとも“isn’t it?”
はイギリス英語のようで、アメリカ人やカナダ人の発言では聞いた記憶がありません。
カナダでは“right?”をくっつけますし、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語を話
す人達は“no?”ですね。発音は軽く「ノ?」っていう感じです。“You are from
Tokyo, no?”とういうように言います。文化圏によって違うのが面白いです。
そんなわけで、日本語の持つ表現力は誇るに足るものだと思っています。若い人達に
も、是非この豊かさを引き継いでいってもらいたいものです。「俺、そんなタマじゃね
ーし、どーでもいーし」ばかり言わないで。(赤木)


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■図書館員のひとりごと■ お菓子紀行 府中編
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京王線府中駅から甲州街道方面に行き、ケヤキ並木を進んでいくとそのお店はありま
す。パティシェールは専門学校卒業後、パリに留学し本場のフランス菓子を学び、帰国
後に成城アルプスや姉妹店のプレリアルで勤務していました。その後独立して「パティ
スリー ラ ボンボニエール」を開店しました。
このお店で私が一番好きなケーキは「ショコラバニーユ」です。キャラメルチョコムー
スの中にバニラクリームが入っていて、とても濃厚でおいしいです。ケーキの見た目も
宇宙や夜空のような輝きがあるデザインです。見た目は固そうにみえますが驚くほど柔
らかく、チョコレート好きにはたまらない濃い味です。毎日は食べられないほどの濃厚
さはありますが、ストレートの紅茶やブラックコーヒーによく合います。他のお店には
ない味でたまに食べたくなる味です。
その他にも季節によっていろいろなケーキがあるので、どれにしようか迷ってしまいま
す。ほかのお客さんもみんな迷っているようで、そんな姿をよく見かけます。焼き菓子
もシンプルでおいしいです。種類も多く、その上リーズナブルです。有料の素敵な箱に
入れてもらうと、とてもゴージャスでプレゼントにしても喜ばれます。
このような素敵なお店が長く続いてほしいと思います。(久)

パティスリー ラ ボンボニエール


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■編集後記■
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「お勧め図書」では性と言葉遣いに関する話題が少し登場しましたが、続く「図書館長
の多話ごと」では日本語の語尾から想像する性(さらに立場)に触れられていました。
日本語と性に関する偶然のリンクも興味深い89号、いかがだったでしょうか。語尾やLGB
T、ダイバーシティについてもこの機会に気にかけてみてほしいです。
さて、ここで重大発表です。2012年に創刊したこのメルマガ、初の臨時増刊号を今月中
旬に発行することになりました。テーマは「評価」です。大学にお勤め(予定)の方に
も病院にお勤め(予定)の方にも参考になると思います。どうぞお楽しみに。(野)

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