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教員が語る専門分野のこんなところが面白い 教員リレーエッセイ

専門分野の「こんなところが面白い」Vol.1
准教授・井手 拓郎 (IDE, Takuro)

 観光現象にはさまざまな事柄が関係します。さまざまな事柄とは、観光をする人、観光対象としての風景・動植物・歴史・文化、観光を経済活動につなげる人・施設・技術・情報、などです。観光現象をテーマにすると、広く深くさまざまなことを学ぶことにつながります。その可能性の広がりにワクワクしませんか?

 私はその広がりにワクワクしつつ、深く掘り下げていくテーマを「観光まちづくり」にしています。授業を通じて学生の皆さんと「まちづくり」(観光に限らず)について議論しますが、このテーマは理論と実践を行ったり来たりしないと、成果を出すことができません。まちづくりを理詰めで考え、現場はそれでうまくいくのかを考える。現場の状況から仮説や理論を構築してみる。この行ったりきたりによって手に汗握りながら、理論的にも実践的にも有意義な結論を導き出そうとするのが私の専門分野の面白さであると思います。

 また、授業でも研究でも私が心がけていることは、「単純なことは複雑に、複雑なことを単純に」することです。一見単純なことは、よく吟味しないと何か見落としがあるかもしれません。複雑なことはそのままだと実体がわからず、理解することができません。授業においては、単純なことを複雑にすると学生の皆さんが混乱に陥ることがよくあります。しかし、考えることを諦めずにみんなでその壁を突破すると大きな思考力が身につきます。壁にぶち当たった最初は大変ですが、突破したときの嬉しさや面白さは何物にも代えがたいと思います。

研究に欠かせないアイテム

現場で研究データを得てくる際に持っていくのは、カメラとICレコーダーです。
 一眼レフカメラは少し重いので、最近はスマートフォンのカメラ機能で撮影することも多いです。撮影対象は、観光地の町並み全景や商店などの看板、自動販売機、トイレなど、気になったモノを記録するようにしています。
 ICレコーダーは、インタビュー調査の際に使用しています。バックアップのために必ず2つ、持っていくようにしています。

研究する上で大切にしていること

「その研究の社会的意義は何か」ということを大切にしています。研究という行為自体に、“探求”という面白さがあります。しかしそれだけにとどまらず、社会的意義という観点を大切にして研究を進め、その成果を少しでもまとめることができると、社会への貢献という形で研究の意味をより拡大させることができます。
 一方で、「現場ですぐに活用可能かどうか」という観点のみで研究価値を判断しないようにすることも心がけています。すぐに実践に役立てられるかということのみを追い求めてしまうと、問題の根本を熟慮せずに実践を促してしまう可能性があります。それでは結局その問題を根本的には解決できず、より良い状態、観光まちづくりで言えば「住んでよし、訪れてよし」を実現できないかもしれません。
 研究の先にどのような意味を社会にもたらすことができるのか、を大切にしながらも、拙速に結論を出してしまわないよう地道に研究へ取り組むことも大切にしたいと思っています。

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