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教授
赤井 孝雄
(AKAI, Takao )

経歴
1980年 慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業
1982年 慶應義塾大学院文学研究科英米文学専攻修士課程修了(修士・文学)
洗足学園魚津短期大学勤務を経て
1992年 杏林大学外国語学部英米語学科講師、その後、助教授を経て
1998年 杏林大学外国語学部英米語学科教授(現在:同英語学科教授)

先生の専門は何ですか?

19世紀イギリス(ビクトリア時代)を中心とした文学研究が専門ということになりますが、単に文学だけに限定するのではなく、言語文化、さらには文化全体について研究しています。

「七つの海」を支配し、ヨーロッパさらには世界をリードする一大帝国(大英帝国)へと発展を遂げたビクトリア時代のイギリス、しかしそこには多くの矛盾と歪みを抱えていました。当時の文学者や知識人は、表現方法の違いはありますが、この矛盾と歪みを、暴きそして告発しています。その声に耳を傾けることが、私の研究です。

それとは別に、職務上からこの十数年、高等教育も調査・研究の対象にしています。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

特に明確な理由があって興味を持ったという訳ではなく、気が付けばというのが正直なところです。もともと文学作品を読むのが好きで、いろいろな作品を乱読(?)するなかで、イギリスの文学が一番取っつきやすかったからだと思います。あまり肩肘張らずに、比較的気楽に楽しめる作品がイギリスには多い、今から考えればそのことが動機であったのではないかと思います。

また、なぜビクトリア時代なのかについてですが、先述の矛盾や歪みは未だ解決されていないことが多く、その原因を作ったビクトリア時代を知ることで、何か解決の方法が探れるのではと考えたからです。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

Roald Dahl(ロアルド・ダール)の短編集にSomeone Like You(『あなたに似た人』)という作品がありますが、このタイトルはイギリス文学全体に当てはめることができるのではないかと思います。

とかく文学というと、ある普遍的な思想、理念、さらには哲学が描かれていると思いがちですが、ことイギリス文学については、その期待が裏切られることが多いのです。むしろイギリス文学に描かれた人間は、ある偉大な思想や理念を抽出できる人物というより、「あなたに似た人」そして「私に似た人」、つまり皆さんの人生において実際に出会うであろう人物なのです。抽象的な理論を説き、諭すのではなく、身近にいそうな人物を描くことで、知らず知らずのうちにそれを気づかせてくれるのが、イギリス文学なのです。文学の面白さと同時に、このようなことを伝え、かつ理解してもらえればと思いながら、授業を行っています。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

「役に立つ」「役に立たない」を基準に学ぶのではなく、何にでも興味を持つこと、そして当たり前と思われていることに、今一度疑問を呈すること、これが「専門的に学ぶ」ことを通して皆さんに身に着けてほしいことです。もちろん、その根底には、ローマ時代の喜劇作家テレンティウスの言葉があることを忘れないでいただきたい。

私は人間だ。だから人間に関係あることなら、何でも無関心ではいられない。

人間という言葉は、人間も含めたnatureと置き替えてもいいと思います。具体的な未来像ではありませんが、皆さんの将来設計の根本原理を大学の「専門的学び」で習得してもらいたいと願っています。

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