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准教授
井手 拓郎
(IDE, Takuro)

経歴
2004年 立教大学大学院観光学研究科観光学専攻博士課程前期課程修了、修士(観光学)
広告代理店に入社し、おもに「環境コミュニケーション」をテーマに企画・制作に従事。
2010年 杏林大学観光交流文化学科講師
2014年 杏林大学観光交流文化学科准教授(現在に至る)
2019年 法政大学大学院政策創造研究科政策創造専攻博士後期課程修了、博士(政策学)

先生の専門は何ですか?

私の専門は「観光学」です。観光学は観光に関する事象をさまざまなアプローチによって捉える学際的学問ですが、私がおもに用いるアプローチは心理学や経営学です。

これらのアプローチを用いて最近は、「観光まちづくりにおけるリーダーの発達プロセス」について研究しています。日本では最近、観光の視点を用いたまちづくりがさまざまな地域で進められています。このまちづくりには必ずと言って良いほど、リーダーの存在があります。彼らはどのように観光まちづくりのリーダーとなったのか、彼らが発揮するリーダーシップとはどのようなものか、それはどのような成果をあげるのか、にとても興味があります。いくつかの地域のリーダーに彼らの人生に関するインタビューをし、現在そのデータを分析しています。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

高校生時代に部活動の遠征で日本全国を周りましたが、試合ばかりで訪問した地域のことを知ることはまったくありませんでした。その反動からか、「せっかくどこかに行ったなら、もっとその地域のことを知りたい」と思ったのが「観光」(学ではなく)に興味をもったきっかけでした。大学で観光を学びながら自転車やカヌーなどで日本を旅し、徐々に学問としての観光にも興味が強くなっていきました。

大学院生時代は自然の中で遊ぶことが好きだったので、観光と環境のかかわりをテーマにしました。その後、ある地域でエコツーリズム導入のお手伝いなどをさせて頂くうちにその地域の方々の魅力に惹きこまれ、地域活性化に貢献したいという想いが強くなっていきました。研究の観点からどのように地域に貢献するかを模索していましたが、さまざまな地域にお邪魔させて頂いているうちに「リーダー」に着目するようになり、現在の研究につながりました。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

観光現象にはさまざまな事柄が関係します。さまざまな事柄とは、観光をする人、観光対象としての風景・動植物・歴史・文化、観光を経済活動につなげる人・施設・技術・情報、などです。観光現象をテーマにすると、広く深くさまざまなことを学ぶことにつながります。その可能性の広がりにワクワクしませんか?

私はその広がりにワクワクしつつ、深く掘り下げていくテーマを「観光まちづくり」にしています。授業を通じて学生の皆さんと「まちづくり」(観光に限らず)について議論しますが、このテーマは理論と実践を行ったり来たりしないと、成果を出すことができません。まちづくりを理詰めで考え、現場はそれでうまくいくのかを考える。現場の状況から仮説や理論を構築してみる。この行ったりきたりによって手に汗握りながら、理論的にも実践的にも有意義な結論を導き出そうとするのが私の専門分野の面白さであると思います。

また、授業でも研究でも私が心がけていることは、「単純なことは複雑に、複雑なことを単純に」することです。一見単純なことは、よく吟味しないと何か見落としがあるかもしれません。複雑なことはそのままだと実体がわからず、理解することができません。授業においては、単純なことを複雑にすると学生の皆さんが混乱に陥ることがよくあります。しかし、考えることを諦めずにみんなでその壁を突破すると大きな思考力が身につきます。壁にぶち当たった最初は大変ですが、突破したときの嬉しさや面白さは何物にも代えがたいと思います。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

大学の学部教育で学ぶ専門知識は、その専門分野の入口付近です。ですから、そのまますぐに社会で活用できるわけではないかもしれません。しかし、その分野の入口であっても専門的に深く掘り下げて考える訓練は、思考力を鍛えるのにうってつけです。広く浅く“知っている”よりも、筋を通して少しでも深く“考える”ことにより、どのようなことにでも思考することができるようになります。この思考力を活かして、大学で学習した知識や卒業後に経験する事柄をつなぎあわせれば、自分で自分の未来を選択することができるようになると思います。それを私は“幸せな未来”と捉えています。

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