大学ホーム外国語学部学びがわかるインタビュー金田一秀穂(教授)インタビ ュー

外国語としての日本語という発想

杏林大学外国語学部には、日本語教員養成コースがあります。日本語を学ぶコースがなぜ外国語学部にあるのかと驚かれる方も多いかもしれません。でも、これには深い意味が二つあるのです。最初は、このお話から始めましょう。

外国語とは何でしょう?端的に言えば、数ある言葉の中の一つです。つまり、外国語を学ぶことは、言葉を学ぶことなのです。日本人であれば最も詳しい言葉は当然日本語ということになりますが、自分の国の言葉がわかれば、他の言葉はもっとよくわかるようになります。反対に、自分の国の言葉がわからなければ、外国語の勉強は不十分なものに終わってしまいます。英語を学ぶにしても中国語を学ぶにしても、ベースは日本語にある。外国語学部において日本語を学ぶ意味の一つは、そこにあるのです。

もう一つは、外から見た日本語、つまり外国語としての日本語という考え方です。世界中で300万人もの人が日本語を学ぼうとしている今、大学で専門的なスキルを習得した日本語教師の需要は高まっています。こうした社会的ニーズに対応できる人材を養成するため、日本語教員育成コースでは日本語教師の育成プログラムを提供していますが、そこでは、日本語を外国語としてとらえる視点がどうしても必要となります。その点、杏林大学外国語学部には外国語習得に関するスキルが溢れています。このメリットは大きいと思います。

外国語を学ぶプログラムと、外国語としての日本語を考えるプログラム、さらにはコミュニケーションを学ぶプログラムが同じ学部の中にあり、有機的な結びつきを持っている。杏林大学外国語学部では、こうした体制によってそれぞれのプログラムの可能性を最大化し、学習の相乗効果を高めていくことをめざしているのです。

日本語教師養成プログラム

自分を知り、世界を知ろう

学問の究極的な目的は、自分を知ることです。もちろん、現在私が教えている日本語学を学ぶことでも、人生を考えることにつながります。自分の使う言葉や育ってきた文化を理解する過程の中で、自分の限界に気づいたり新たな可能性を発見できたりするからです。

例えば、ブリトニー・スピアーズとダイアナ妃が「I will divorce.」と全く同じことを言ったとします。これが日本語に翻訳された場合には、ダイアナ妃の談話は「私は離婚を決意いたしました」となり、ブリトニーの場合は「私、別れることにしちゃったの」となるでしょう。このことからわかることは、日本語にはある種のフィルターが内在しているということです。言葉とはこうしたバイアスやイメージを作り出すものであり、このことは、言葉を学ぶ上で最初に知っておくべき重要なことなのです。無意識のうちに話している言葉を意識化する。そして、先入観や偏見から自由になる。これが、自分を知り、世界を知る第一歩なのです。

今の若い人たちを見ていて一番危険と感じることは、情報の洪水の中で偽物にだまされてしまっていることです。本物の情報を選別していくためには、まず、世の中には様々なものの見方が存在することを知る必要があります。ところが、日本で暮らしていたのでは、どうしても限界がある。ですから、若い人たちにはどんどん外国に行き、異なる考え方にふれる経験を重ねることで世の中を公正な目で見る力を身につけてほしいと思います。私も若い頃、中国やアメリカなどの海外で暮らしましたが、離れた場所から日本を再発見した経験や、様々な価値観を通じて精神の自由を獲得した経験が、現在の私に大いに生きていると実感しています。

本当に好きなことを見つけよう

学ぶ対象を徹底的に好きになること。これは、大学で大きく伸びる学生に共通した姿勢です。「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったもので、好きになれば努力を努力と思わない。そして、わからなかったことがわかるようになると、ますます好きになるという好循環が生まれます。ある人から「才能というものの正体は、好きか嫌いかということだ」と言われたことがありますが、全くその通りだと思います。

ところが、多くの学生にとって一番の問題は、自分が好きなことが簡単には見つからないということでしょう。日本では、大学を選ぶ際に大学名と偏差値で決めている現状がありますが、私はそこに間違いがあると思います。自分がどんな勉強をしたいのかを徹底的に考えてからどの大学に行くべきかを選ぶ。どうしても進路がまだ決められない場合は、せめて先生で選んでみる。こうした意識を持って大学を選ぶことができれば、きっと大学で自分が心から好きだと思えることと出会えると思います。例えば外国語学部の場合、語学と関連する教養も一緒に学ぶことができるため、その中から好きなことが見つかることもあるでしょう。言葉は道具に過ぎません。言葉の向こう側にあるものを見つめながら学ぶことが、語学を好きになる秘訣でもあります。

人間、好きなことに取り組んだ方が幸せです。好きなことを通じて幅広いものの見方を持てたら、さらに幸せです。私は、皆さんが幸せな人生を歩むためのお手伝いがしたいと考えています。多くの方が杏林大学外国語学部で自分の幸せをつかんでくれたら、私にとってこれ以上の喜びはありません。

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