ホーム >  学生のつぶやき  >  杏園祭ゼミ連発表会を開催しました

ゼミナール活動・紹介発表会では、各ゼミナールで研究している課題報告であったり、ゼミ合宿で得た調査発表を行なった。今回は国際関係コースの川村ゼミ・渡辺ゼミの発表についてまとめたい。 

 川村ゼミでは「ロヒンギャ問題」についての研究発表であった。ロヒンギャ問題とは難民問題の一種で、ミャンマーからバングラデシュに移ろうとしている不法移民として迫害されてる人たちのことを指す。迫害理由として主に3点挙げられる。第一に信仰差別である。彼らは保守的なイスラム(ムスリム)信仰者であり、上座仏教徒が多いミャンマー人からすると恐怖心を抱いてしまうのだ。第二に人種的差別である。肌の色が一般的なミャンマー土着民族より黒く、顔の彫りが深いことから同族として認めないのである。第三に言語的差別である。ミャンマーの国家語であるビルマ語を上手にしゃべれない(ロヒンギャ語を母語にしている)ことへの嫌悪感が、彼らに対する差別を助長させているのだ。

 日本政府としては当問題に対して援助はしておらず、一見日本にはあまり関係のない問題に思えるが、群馬県では彼らを保護し手厚い援助をしているのだという。しかし、一個人としては、UNICEFの「ロヒンギャ難民緊急募金」に募金をしたり、国連難民高等弁務事務所(UNHCR)の難民支援に協力したりすることは可能であるそうだ。そうすることで少しでも多くの人の命を守ることが可能であるだろう。

 また、渡辺ゼミでは「中国は覇権国になり得るか」というテーマの発表だった。 

 ある記事によると、「2035年には中国の戦力は米軍と同等になるだろう」と記載されていた。その理由として米軍の戦力への投資額は高いが、成長率は横ばいになっているのに対して中国の成長率は年々向上しているからだ。中国は東シナ海に領海を広げようと海洋進出していることも理由として挙げられる。

 また、アジア向けの国際開発金融機関(AIIB)が中国主導で設立されたり、一帯一路計画を進めようとしていたりすることで着実に中国は力を付けてきている。そして、「新興国の中国が覇権国であるアメリカへの挑戦」を仕掛けた根拠となり得る行動は、米国との貿易摩擦が勃発したことである。 

 これらの事による世界への影響は主に二点挙げられる。第一に中国は2000年以降PKOへの派遣を急拡大し国連の役割と機能の維持に努めた事である。実際に2015年時点では中国の派遣数は3040名に達し、他の国連安保常任理事国4カ国の合計1363名よりもはるかに多くなっているのだ。また、2016~2018年の中国の国連分担金は米国、日本に次ぐ世界第3位になる見通しだ。PKO予算に限ると2016年に日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位になるとみられることから、着実に中国は国連内での影響力を付けてきている。第二に中国のソフトパワーの強化である。例えば友好の証として送られるパンダ、スマートフォン製造業者の小米科技や中国語教室の孔子学院など様々な"〇〇=中国"といったイメージを構築することで他国への魅力発信戦略を立てている。

 このような点からPKOやAIIBにより世界的な発言力を高めつつ一帯一路計画などにより中国を経済の中心に持ってくる事で派遣国になる可能性は高いと結論付けていた。

 私は国際関係とは異なる分野を学んでいることから、今回の発表会はとても刺激的だった。ニュースで取り上げられている内容をこれらのように深く調べることで、世界がどのように動いているのか、日本・国民一人一人はどう行動すべきか考えることができる。国際関係に関わらず日常に溢れている様々な事柄にもっと興味を示し深く調べ、自分の考えを持つことで自身の視野が広がっていくだろう。

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