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2017/01/13
【GCD】楽天創業メンバーが伝えた「1.1の生き方」と「自我作古」の精神

毎週多彩なゲストをお迎えしてグローバルなキャリア形成の魅力を本音で語っていただくGlobal Career Development(GCD)。いよいよ秋学期最後の講義となりました。
今回は最終講義のゲストにふさわしい、ビッグな講師を井の頭キャンパスにお迎えしました。そう。楽天株式会社の共同創設者であり、Rakuten USAのCEOなどを経て、現在は楽天株式会社の常務執行役員およびRakuten AsiaのCEOとしてご活躍されている小林正忠氏です。

楽天といえばインターネット・ショッピングや野球の球団が有名ですが、一方、世界市場の獲得を視野にいれ、今もなお成長を遂げ続けている企業でもあります。そうした世界戦略の一環として、楽天は日本でもいち早く「社内の英語公用語化」や「グローバル人材の登用」にも着手。こうした取り組みは、企業の国際化の成功事例として、海外のMBA用の教科書にもケーススタディとして掲載されています

本日は、楽天の第一線でグローバル・ビジネスを開拓し続けてきた張本人である小林さんから、たくさんの熱いメッセージを学生達にプレゼントして頂きました。今回もGCDを履修している学生に授業の概要や感想を語っていただきます!

(以下学生の感想)
皆さん、「チャンス」は平等に訪れていると思いますか?

本日のゲストは、楽天株式会社の常務執行役員とRakuten AsiaのCEOとしてご活躍されている小林正忠さん。講義の冒頭、小林さんは次のようにお話されました。

『この世の中、「チャンス」は意外と平等に訪れている。では違いをもたらすものは何か。それは、日頃から情報アンテナや人脈を広げ、チャンスが来やすい状況を作れているか。そしてチャンスにつながる情報に接したとき、それを「自分との関係性」で捉えられるか。最後に、これが一番大切だけれども、チャンスをつかみ取るために「ノリよく」行動できるか。この生き方ができるかどうかで、人生は大きく変わるんだ。ぼくはこれを、チャンスを活かすための「1.1の生き方」と呼んでいる。』

続いて小林さんは、「1.1の生き方」の意味を次のように解説して下さいました。

『「1.1の生き方」と反対の生き方は「0.9の生き方」。これはアンテナも張らず、すべてを他人事として捉え、消極的・悲観的になって何のチャンスも掴もうとせずに生きる方法。つまりノリの悪い生き方。毎日を0.9の生き方で過ごすのか。あるいは1.1の生き方で過ごすのか。

1ヶ月という期間ではわずかな差しか生まれないかもしれない。ただ、それが1年続くとどうなるか。前向きな想い、生き方、そしてその結果として訪れる次のチャンスというのは足し算ではなく掛け算の世界で増幅していく。ノリの悪い、0.9の生き方を1年間続けると「0.9の12乗」で0.28。逆に、1.1の生き方を1年間続けると「1.1の12乗」で3.14。

次から次へと訪れるチャンスに乗るか乗らないかでその差は1年で10倍以上。会社組織も同じ。悲観的でノリの悪い組織と前向きにチャレンジする組織とでは、1年という短い期間でもあっという間に差が拡がるんだ。わずか20年で楽天が巨大企業に成長できた秘訣もここにある。』

この冒頭のメッセージは衝撃的でした。思わずその場で自分の人生をふり返ってしましまうほどに。

「ノリの良さ、悪さ」といった若者に響く言葉と、数字を用いた客観的な説明を巧みに織り交ぜながら語りかけてくる小林さんのお話しは、どれも私たちの頭の中にスッと入り、心に染み渡るものでした。しかも、ここまでのお話は講義冒頭の10分間。わずか10分間で、私たちの心は小林さんに鷲づかみにされていました。それぐらい、私に大きな影響を与えた、価値ある10分だったのです。


小林さんは、「1.1の生き方」をするための3つのステップについて、さらに具体的に教えてくださいました。

『まず、アンテナを高く張っておくためには、情報入手経路を安易にネット検索に依存してはいけない。

良くも悪くも、すでにネットの世界は、自分自身の属性や検索履歴に応じて「情報の出し手」にとって都合の良いサイトや情報に誘導される仕組みになっている。そういう情報に依存する限り、本当に価値ある情報とは巡りあえず、なかなかチャンスは巡ってこない。

だからこそ、ネットの情報に過度に依存せず、むしろ自分独自の人脈の幅を広げていくことが重要。ネットで情報収集する際にも、本当に価値ある情報を自ら取りに行くというスタンスとスキルが必要。これがチャンスをつかむ1.1の生き方の第一ステップ。

そして、そうした独自の情報源から情報やニュースを仕入れたとき、「へー、そうなんだ」、と他人事として捉えて終わらせてはいけない。それではチャンスはこない。そうではなく、「自分とどう関係があるか?」「自分だったらどうする?」「これが日本でも起きたらどうするか?」と、いつも自分の事としてとらえる習慣が必要。これが第二ステップ。

最後に、一番大切なことは、そうした情報をベースに、とにかくノリ良く、積極的に行動してみること。これが「1.1の生き方」でチャンスをつかむための第三ステップ。』


つづいて、小林さんが大学卒業後、三木谷浩史氏(現楽天取締役会長兼社長)と出会い、「一緒に起業しないか」と同氏から誘いを受け、戸惑いながらも同意し、わずか数人で楽天を起業した際のエピソード、そして「日本を元気に」という目標を掲げ、日本各地をまわって素晴らしい商品を提供している店舗を開拓しながら楽天を一兆円企業に成長させるまでの苦難の歴史について、笑い話も交えながら話して下さいました。

小林さんは、これまでの経験から学んだそうです。

『「二兎追う者は一兎をも得ず」という考えは間違っている。実際、二兎追う者は三兎目、四兎目も得られるんだ。』

ご自身の経験談に加え、日本一の野球選手になっても挑戦することをやめずにメジャーで挑戦することを選択したイチロー、あるいは新しい価値を次々と生み出す挑戦をし続けてきたスティーブ・ジョブズの例にも触れながら、小林さんは「現状で満足せず、挑戦をし続けること」の重要性について私たちに教えてくださいました。


私にも、やってみたいこと、成し遂げたいことが山ほどあります。
おそらく、私以外のすべての若者も同じだと思います。
しかしながら、多くの若者は、そう「思う」だけで終わってしまっているのが現実です。

小林さんはおっしゃいました。

『自分が本当に面白いと思えることはとにかくやってみる。先生やほかの大人は「やめたほうが良い」「無理」というかもしれないが、そこで諦めてはいけない。できない理由ばかり並べるのではなく、とにかく「できる方法」を考える。「できる」「できない」と言う前に、まずは挑戦してみる。』

近くにあったようで遠くにあった言葉のように感じました。
自分のやりたいことを容易に曲げてはいけないんだと。

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講義の終盤、小林さんは「自我作古」という中国の言葉を私たちに教えてくださいました。これは、無理だと思われていることだからこそ、自分がやる。前人未到の分野だからこそ、自分で新しい道を作る。困難や試練を乗りこえて、自分が歴史を作る。そういう意味だそうです。

人の生き方の真似をしても、オリジナリティのある人生を歩むことはできません。そして、皆がそのように生きると、個人のみならず、社会全体の進歩も止まってしまいます。
もちろん、新しいことに挑戦するのだから、失敗はつきものです。だからこそ、何度も何度も挑戦しなければなりません。
若者は諦めることに慣れてはいけない。できない理由ばかり並べてはいけない。
自我作古という言葉をうかがい、改めて決意を新たにしました。


将来、私はグローバルな環境で自分の実力を試したいと考えています。来年度は留学にも行くつもりです。しかしながら、今回の小林さんのお話をうかがい、ただ単に留学に行くだけではグローバルな人材になれない、と痛感しました。

小林さんはご自身の経験から、グローバル人材に必要な3つの条件を教えてくださいました。第一に、「言語の裏にある外国の文化を知る」こと。第二に、「文化の裏の歴史を知る」こと。そして第三に、「他者を知るためにも己を知る」ことです。

言語習得はもちろん大切。しかし、外国の文化と歴史をしっかり認識することなしに、世界の一流の人々と対等に付き合うことは難しい、と強調されていました。そして他国を知る前に、自国の文化や歴史を理解することの重要性。自国を理解し、愛することができない人は、他国を理解し、愛することなどできない。これは小林さんの持論だそうです。
私は、留学に行く前に大きな課題がたくさんできたように思いました。


これからの日本社会では、企業活動をふくめ、さまざまな部分でグローバル化が進展していきます。そうした変化についていけるのか、私はこれまで不安と焦りでいっぱいでした。
しかしながら、本日の小林さんのお話をうかがい、とにかく怖がらず、チャンスにノリ込む勇気を持とう、と決心しました。


最後は恒例の質疑応答タイム。時間が押している中、小林さんは手を挙げたすべての学生の質問に何とか答えようと、最後までお付き合い下さいました。
90分間という短い時間でしたが、私たちに素晴らしい気付きをたくさん与えてくださり、心から感謝しております。「自我作古」という言葉を忘れずに、今後の人生を歩んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。(総合政策学部1年 碇大毅)

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