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生化学教室

教室専任教員

教授 後藤田 貴也 今泉 美佳
講師 田原 義和 青柳 共太
助教 山本 隆史 牧山 智彦

教室概要

生化学教室は、当医学部創立の1970年に発足し、松井英男教授(故人)と小峰仙一教授(故人)で、開設されました。その後、教室主任は脇坂晟教授、林雄太郎教授、永松信哉教授と引き継がれ、現在は後藤田教授が担当しています。

代謝生化学部門:代謝生化学部門(後藤田・田原・山本)は、基礎医学科目の代謝生化学の講義・実習(2016年度までは1・2年生対象、2017年度以降は1年生対象)を担当しています。生命現象は「生成」と「分解」を通じた物質のやりとりと捉えられ、この一連の物質のやりとりの過程(すなわち代謝)の破綻はさまざまな異常や疾患の原因となります。例えば、代謝を担う遺伝子の異常は多様な先天性代謝疾患を引き起こす一方、飽食による栄養過多と運動不足によるエネルギー消費不足に起因した代謝バランスの破綻は、現代人に肥満や糖尿病、メタボリックシンドロームという重い代償を強いています。「代謝生化学」は、生命現象を細胞、臓器、そして個体レベルで化学(科学)の言葉を用いて理解・説明する学問であり、基礎医学はもとより、学生諸君が臨床医学を学ぶ上でも大きな礎となる学問でもあります。講義・実習を通じて基礎医学から臨床医学への橋渡し的な側面をもつ生化学の魅力を存分にお伝えしたいと思います。研究面においても、分子遺伝学的アプローチを用いた代謝性疾患の成因解明を中心として精力的に取り組んでいます。

細胞生物学部門:細胞生物学部門(今泉・青柳・牧山)が担当する分子生物学、分子細胞生物学は、医学・医療の全分野に渡って技術的・概念的にそれらの支柱となっている学問であり、近年の組み換えDNA革命を経て爆発的な発展を遂げています。1年生では分子生物学と遺伝子工学の実習を、2年生では分子細胞生物学のエッセンスを習得してもらいます。一方、研究面においては、インスリンの開口放出の分子機構を解明すべく、日夜実験を重ねています。すなわち、遺伝子工学技術、細胞生物学技術、顕微鏡技術を融合させて開発した独自の技法を駆使し、膵β細胞からのインスリン放出の可視化に世界に先駆けて成功し、我が国で社会問題となっている糖尿病成因の解明に精力的に取り組んでいます。


研究グループ及び研究課題

代謝生化学グループ(後藤田、田原、山本)

代謝生化学部門の研究目的は、さまざまな手法、すなわち生化学的・分子生物学的および分子遺伝学的アプローチ等を駆使して代謝性疾患の成因の解明と新規治療法の開発に資することにあります。これまでに後藤田は代謝を制御する酵素や転送蛋白質の遺伝子、あるいは肥満やメタボリックシンドロームの遺伝素因に関する研究を行い、田原は電子顕微鏡による蛋白質の構造機能相関に関して、また山本は代謝を制御する転写因子群に関する研究を行ってまいりました。本部門では、現代人のライフスタイルと深い関わりをもつ脂質異常症や2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームといったいわゆるcommon metabolic diseasesを対象疾患として、遺伝子改変マウス等のモデル動物を用いた基礎研究と臨床疫学研究を推進し、translational researchの観点から研究成果の臨床応用(具体的には疾患のリスク診断や新規治療法の開発)を目指します。


近年の主な業績

  1. Yamamoto T, Izumi-Yamamoto K, Iizuka Y, Shirota M, Nagase M, Fujita T & Gotoda T: A novel link between Slc22a18 and fat accumulation revealed by a mutation in the spontaneously hypertensive rat. Biochem Biophys Res Commun 440:521-526, 2013.
  2. Takase S, Osuga JI, Fujita H, Hara K, Sekiya M, Igarashi M, Takanashi M, Takeuchi Y, Izumida Y, Ohta K, Kumagai M, Nishi M, Kubota M, Masuda Y, Taira Y, Okazaki S, Iizuka Y, Yahagi N, Ohashi K, Yoshida H, Yanai H, Tada N, Gotoda T, Ishibashi S, Kadowaki T & Okazaki H: Apolipoprotein C-ll deficiency with no rare variant in the APOC2 gene. J Atheroscler Thromb 20:481-493, 2013.
  3. Gotoda T, Shirai K, Ohta T, Kobayashi J, Yokoyama S, Oikawa S, Bujo H, Ishibashi S, Arai H, Yamashita S, Harada-Shiba M, Eto M, Hayashi T, Sone H, Suzuki H & Yamada N, Research Committee for Primary Hyperlipidemia, Research on Measures against Intractable Diseases by the Ministry of Health, Labour and Welfare in Japan: Diagnosis and management of type I and type V hyperlipoproteinemia. J Atheroscler Thromb 19:1-12, 2012.
  4. Yamamoto T, Watanabe K, Inoue N, Nakagawa Y, Ishigaki N, Matsuzaka T, Takeuchi Y, Kobayashi K, Yatoh S, Takahashi A, Suzuki H, Yahagi N, Gotoda T, Yamada N & Shimano H: Protein kinase Cbeta mediates hepatic induction of sterol-regulatory element binding protein-1c by insulin. J Lipid Res 51:1859-1870, 2010.
  5. Takeuchi Y, Yahagi N, Izumida Y, Nishi M, Kubota M, Teraoka Y, Yamamoto T, Matsuzaka T, Nakagawa Y, Sekiya M, Iizuka Y, Ohashi K, Osuga J, Gotoda T, Ishibashi S, Itaka K, Kataoka K, Nagai R, Yamada N, Kadowaki T & Shimano H: Polyunsaturated fatty acids selectively suppress sterol regulatory element-binding protein-1 through proteolytic processing and autoloop regulatory circuit. J Biol Chem 285:11681-11691, 2010.

以上の研究内容の詳細は、研究グループのホームページへ。



細胞生物学グループ(今泉、青柳、牧山)

細胞生物学部門の主要研究テーマは、膵β細胞におけるインスリン分泌の分子機構の解明である。今や日本国民の健康にとって最大の脅威となっている糖尿病の成因解明、新たな予防法、及び新規治療薬の開発のためには、インスリン分泌機構を明らかにすることが分子細胞生物学の観点からのみならず、臨床医にとっても急務の課題となっている。日本人の糖尿病患者数は予備軍を含めて約2,050万人、かつ、死亡率順位2,3位を占める心・脳血管障害の発症率は、糖尿病罹患者において非罹患者の3倍にも昇っている。特に日本人の糖尿病の特徴は、インスリン分泌不全を特徴としているため、インスリン分泌機構を分子レベルから明らかにすることが待ち望まれている。そこで、当部門は新しいイメージング手法を用いてインスリン分泌の分子機構を解明することに精力的に取り組んでいる。インスリンは膵β細胞内にあるインスリン顆粒と形質膜が融合することによって細胞の外に放出される。この様なインスリン開口放出の分子機構を明らかにするためには、生きた細胞を用いて、単一インスリン顆粒の動態を、時間的空間的に解析することが必須である。そこで、当部門においては、1分子の蛋白質を捉えることが可能なtotal internal reflection fluorescence microscopy (TIRF)システムを膵β細胞に構築し、単一インスリン顆粒をナノスケールの範囲、かつ33msのビデオレートで解析するシステムを確立した。このシステムと、従来の遺伝子工学的手法による遺伝子改変動物や種々のプローブを用いた実験を組み合わせることにより、2相性インスリン分泌の仕組みが徐々に明らかになりつつある。現在、糖尿病におけるインスリン開口放出の異常部位、新規糖尿病薬の膵β細胞における作用等を明らかにしているところである。


近年の主な業績

  1. Kunii M, Ohara-Imaizumi M, Takahashi N, Kobayashi M, Kawakami R, Kondoh Y, Shimizu T, Simizu S, Lin B, Nunomura K, Aoyagi K, Ohno M, Ohmuraya M, Sato T, Yoshimura SI, Sato K, Harada R, Kim YJ, Osada H, Nemoto T, Kasai H, Kitamura T, Nagamatsu S, Harada A. (2016) Opposing roles for SNAP23 in secretion in exocrine and endocrine pancreatic cells. J Cell Biol, vol.215: 121-138,
  2. Aoyagi K, Ohara-Imaizumi M, Itakura M, Torii S, Akimoto Y, Nishiwaki C, Nakamichi Y, Kishimoto T, Kawakami H, Harada A, Takahashi M, Nagamatsu S. (2016) VAMP7 regulates autophagy to maintain mitochondrial homeostasis and to control insulin secretion in pancreatic β-cells. Diabetes. vol.65: 1648-1659
  3. Aoyagi K, Rossignol, E, Hamdan FF, Mulcahy B, Xie L, Nagamatsu S, Rouleau GA, Zhen M, Michaud JL. (2015) A gain-of-function mutation in NALCN in a child with intellectual disability, ataxia and arthrogryposis. Hum Mutat, 36, 753-757
  4. Ohara-Imaizumi, M., Kim, H., Yoshida, M., Fujiwara, T., Aoyagi, K., Toyofuku, Y., Nakamichi, Y., Nishiwaki, C., Okamura, T., Uchida, T., Fujitani, Y., Akagawa, K., Kakei, M., Watada, H., German, M.S., and Nagamatsu, S. (2013) Serotonin regulates glucose stimulated insulin secretion from pancreatic β cells during pregnancy. Proc Natl Acad Sci U S A. 110, 19420-19425
  5. Ohara-Imaizumi M, Aoyagi K, Nagamatsu S. Imaging of insulin exocytosis from pancreatic beta cells. Exocytosis Methods. Neuromethods 83. Springer Protocols. Thorn P. (ed.) Humana Press. 55-74 (2013)

以上(細胞生物学部門)の研究内容の詳細は、研究グループのホームページへ。


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