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2017/02/02
【学生取材班がゆく】QQEnglish藤岡頼光社長への独占インタビュー

 グローバルな人材の育成を目指す杏林大学のグローバル・キャリア・プログラム(GCP)。GCPでは、「グローバルに活躍されている方を学生達が訪問し、突撃インタビューを(不定期に)行う」、という企画を実施しています。

 今回、学生たちは株式会社QQEnglishの藤岡頼光社長に突撃取材を行いました。QQEnglishといえば、日本におけるオンライン英会話ビジネスのパイオニア的存在であり、日本人の英語学習環境に革命的な影響を及ぼした企業です。杏林大学GCPでも、1年生向けのOral Communicationという科目の補講として、QQEnglishが提供するマン・ツー・マンのオンライン英会話レッスンを導入しています。

 今日はGCPの学生が毎週お世話になっているQQEnglishの生みの親である藤岡さんから、ご自身の語学学習法、経営哲学、QQEnglishの過去・現在・未来、そしてこれからの時代を背負っていく若者に向けたメッセージなど、大変に密度の濃いお話をうかがうことができました。学生のうちから第一線でご活躍中の経営者に直接お話をうかがえるなんて、本当に贅沢なことですね。

 以下ではGCPの学生による藤岡さんへの取材結果を報告いたします。

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 みなさん、将来の夢や目標は定まっていますか?

 私たちの夢は千差万別です。まだ夢が定まらず、今まさに必死に模索している友人もいます。今回お話をうかがった藤岡さんは無類のバイク好き。当初の夢は、大好きなバイクを使ったビジネスを立ち上げ、成功させることでした。その後、藤岡さんはバイク便と輸入バイクの会社を設立、当初の夢を実現させました。ところが、藤岡さんの関心は徐々に「英語」へとシフトしていきます。そして、「英語」と「フィリピン」という2つのキーワードが結びついた日を境に、藤岡さんのもうひとつの人生の物語が始まったのです。


― 藤岡さん、本日はどうぞよろしくお願いします。インタビューは初めての経験でして、すこし緊張していますが、さっそく始めさせていただきます。
 QQEnglishが提供するサービスは日本人の英語学習環境に革命的なインパクトを与えたと言われていますが、藤岡さんご自身、中学・高校時代に受けた英語教育について、当時どのようにお感じでしたか?


 「英語嫌いを量産するためのもの」なんじゃないか、と感じましたね。本来英語はコミュニケーションの手段であり、暗記して試験を受けることが最終目的ではないはずです。でも残念ながら、かつての日本の中学・高校では、英語の授業でコミュニケーション能力の向上に力点が置かれていませんでした。これでは面白みが半減するし、話せるようにもなりません。だから僕は英語が死ぬほど嫌いでした。覚えても使わない、使わないから楽しくない、頭に残らない。


― 藤岡さんが当時感じた違和感は、いまも大勢の日本人が感じていると思います。ただ、いま藤岡さんは英語を使って、しかも海外でビジネスされていますよね?ということは、必要な英語力は社会人になってからマスターしたのでしょうか?一体どうやって勉強したのですか?

 社会人は多忙ですから、英語の勉強時間を確保するのは本当に大変なんです。僕自身「英語を勉強しなきゃ」と思いつつも、なかなか実行できずにいました。そこで今から11年前、フィリピン留学を決意したのです。

 ところが、当時のフィリピンには韓国資本の英語学校しかありませんでした。生徒も9割以上が韓国人。韓国の大学生がアメリカやイギリスに留学する前に英語の特訓を行うための学校だったんですよね。彼らはIELTSやTOEFLの得点アップを目指して、最低でも3か月から半年フィリピンに滞在して勉強していたわけです。
 でも社会人の僕にはそんな時間はありません。商売をしていたので、3ヶ月も半年もフィリピンに滞在するわけにはいきません。そこで僕は「1週間の留学を何度も繰り返す」という方法をとりました。10か月分の授業料を前払いし、時間ができたらフィリピンに行く。そして1週間現地で英語を学び、また帰国する、ということを繰り返していました。

 会話の練習を始めたころは、飛行機の機内でとなりの外国人と会話集を見ながら話してみたり、いろいろと頑張るわけです。でも案の定、文法も知らず、単語の量も圧倒的に不足していたので、会話は続かないんですよね。
 そこである時、「基礎的な文法を死ぬ気で覚えてみよう」と決意しました。単語も1500ぐらいは必死で覚えたんです。英語をマスターするうえで、この「もがき」の期間は非常に重要だったと思いますね。今ふり返ると。

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― ありがとうございます。ここからは経営者としての藤岡さんについて少し質問をさせてください。まず、経営者として必要な知識はどのように勉強されたのですか?読書ですか?

 そうですね。。最初は必要な知識を手に入れようと、経営学の本や有名な経営者が書いた本をたくさん読みました。ただ、本を読み漁ったあと、「読書だけでは良い経営者になれない、限界がある」という結論にいたりました。あ、これは「本など読む必要はない」という意味ではありませんよ笑。みなさん学生は本を読み漁ったうえで、自分なりの結論を見つけてください。
 僕がそういう結論にいたった理由は簡単です。経営の本に書かれていることは、「すでに誰かが試したこと」ばかり。つまり、誰かが試して、その道は出来あがってしまっているわけです。ビジネスで同じ道をたどっても、得られるものは限られています。同じ線路を走っても、前の電車は絶対に追い越せないですからやっぱり経営者なら、新しい道をゼロから作りたいですよね。
 若いころは本を読み漁って、うんと知識をつけるのも良いでしょう。でも、皆さんも僕と同じくらいの年齢になったら気がつくと思います。いくら読書ばかりしても意味がないなと。


― 「意味がなかった」というお話の直後で聞きづらいのですが、読み漁った本のなかでも影響を受けた本は何ですか?

 そうですね。。やはり中学生、高校生のころに読んだ戦国時代の歴史書ですかね。戦国武将にあこがれを抱いて、「自分で何かをやり遂げたい」、という想いが強くなりましたから。


― 尊敬する経営者はいますか?

 松下幸之助さんです。僕は高卒ですが、彼は小学校中退で素晴らしい経営者になりました。彼からは多くを学びましたね。それから京セラを立ち上げた稲森和夫さんも、彼の道徳観というか、人として尊敬しています。


― 次に、QQEnglishを立ち上げるに至った経緯についてうかがいます。何がきっかけで「Skype」と「英会話学校」と「フィリピン」という3つの要素を組み合わせてビジネスを始めようと思ったのですか?

 これは多分、僕が世界で初めて行ったんですね。でも、突然そういうビジネス・モデルを思いついたというよりは、自分自身が必要にかられて行った勉強法をそのままビジネスにしたんです。

 先ほどお話ししたとおり、11年前に自分がフィリピン留学をした際、とにかく忙しくてまとまった時間が作れなかったわけです。留学といっても、せいぜい日本を離れられるのは1週間。短いときは2、3日しかフィリピンに滞在できませんでした。大の苦手だった文法と単語を何とか克服し、せっかくモチベーションが高まっていたのに、現地に長期滞在できなかったんです。

 そこで僕は、「もっと上達するには現地の先生とSkypeでつながるしかない」と思ったんです。ただ、11年前はSkypeの英会話レッスンなんて未だ普及していませんでした。そこで僕は、留学先のフィリピン人の先生4人にパソコンを渡したんです。自分とSkypeできるように。
 それ以降、オンラインでも英会話の予習や復習ができるようになりました。フィリピンに行ったときに最大限会話の実力を発揮できるよう、日本でも会話の練習をする。そして時間ができたらフィリピンに行って現地で集中的に練習する。この2つの方法の相乗効果を自分自身で実感したし、実感するからモチベーションもさらに高まったんですね。

 こうして徐々に英語が話せるようになりました。日本でバイク便の社長をしていた僕が英語を話せるようになったわけですから、これは「一種の革命だ」と思いましたね。1対1で先生と話すことで誰でも確実に英会話の能力が上がるわけですから。そして、こういう方法で英語を学べるようなサービスを提供する企業を作ろう、と決意したんです。


― 立地先としてのフィリピンの魅力としては「英語を話せる人材が多く、人件費が相対的に安い」ことがあげられると思いますが、これ以外にフィリピンを選んだ理由はありますか?

 英会話学校をフィリピンに作った理由は、必ずしも「人件費が安いから」ではないんです。僕はフィリピン人こそ世界一の英語教師だと思っています。理由は2つあります。

 第一に、フィリピンでは英語が公用語とされています。でも厳密に言うと、フィリピン人にとっての母語は英語ではありません。タガログ語やセブアノ語やビサヤ語などです。彼らにとっての英語とは、小学校のころから勉強する第二言語なんですね。つまり、英語は公用語だけれども、自分達も英語を勉強した経験があるわけです。だから「英語の勉強方法」を知っている。そして何よりも、「英語の勉強の大変さ」も知っています。英語が母語であるイギリス人やアメリカ人は、こういう実体験を持っていません。だから英語を外国語として学ぶなら、その大変さを知っているフィリピン人に教わる方が良いだろう、と考えました。
 さらにフィリピンは世界ビジネス英語指数(BEI)で3年連続No.1を獲得しました。TOEICのスコアでも、シンガポールと並び世界最高水準の結果を出しています。言い換えると、フィリピン人は「世界で1番成功した英語の学習者」とも言えるんです。

 第二に、フィリピン人のホスピタリティ(手厚いもてなし)は世界的に評価されています。なぜホスピタリティなのかというと、フィリピン人は大家族で生きているんですね。一族20人が助け合って、励まし合って生きているわけです。だから「人を助けよう」という、ホスピタリティの精神が根付いています。だからこそ、世界中で働いているフィリピン人の家政婦さんや看護師さんたちは高い評価を得ているんです。

 人件費が安い国ならほかにも沢山あります。ただし、いま申し上げた2つの条件を同時に満たすのはフィリピン人だけではないでしょうか。だからこそ、フィリピンに良い学校をつくり、しっかりと訓練をして、質の高い先生をたくさん養成しようと思ったわけです。

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― なるほど。。そういう深い理由があったのですね。でも私たち学生からすると、実際に「起業する」というのは、とてつもなく大きな決断であるように思えます。あるビジネスを始めるべきかどうか、最終的な決断を下すうえで藤岡さんが一番大切にしてきた基準は何ですか?

 ずばり勘です。「何か匂うな」と感じるんですね。
 人間の脳が一番活性化するのは想定外のことが起きたときです。色んなことに挑戦し続け、想定外のことに直面し、失敗も重ねる。そうすると、徐々に勘が働くようになるんですね。すでに誰かが行ったビジネス・モデルの真似であれば、美しいストーリーの企画書や収支計算表も作れるでしょう。でも、僕がフィリピンで行ったオンライン英会話のビジネスのように、参考事例がない世界では美しい企画書なんて書けないんです。

 当初は色んな人に反対されましたよ笑。バイク便の社員は全員反対でした。フィリピン留学も、近いし、物価も安いし、「絶対にニーズがあるだろう」と思っていたのですが、営業先で企画書を受け取ってもらえないことも珍しくありませんでした。「日本人のネイティブ信仰は強い。フィリピン人から英語を学ぼうなんて思うわけがないだろう!」と言われてね笑。
 でも、そのとき僕は諦めませんでした。自分自身が英語をマスターしちゃったわけですから、いくら批判されても信念は強かったですね。「ネットで宣伝しながら、まずはオンラインのビジネスを地道にやろう」と思い、試行錯誤を重ねて少しずつ大きくしていきました。
 最近はオンライン・レッスンのみならず、フィリピン留学のビジネスも急成長しています。正直、僕自身もここまで拡大するとは思っていませんでした。南の国のフィリピンは暖かいから、冬にフィリピンで学びましょう、程度の気持ちだったんです。今やそれが大ブームとなり、当初は年間100人程度だった留学生の数は2015年に3万7千人、2016年は4万人を超えました。これは僕にとっても嬉しい誤算でしたね。


― さきほど「失敗を重ねた」というお話がありましたが、藤岡さんにとって、これまで経営者として直面した人生最大の「ピンチ」とはどのようなものですか?またその時、どのようにして自分を奮い立たせましたか?

 そうですね。。色々とありますが、「ピンチが到来した際、それをピンチと思わないような人」が経営者に向いているんだと思います。

 確かに、これまで「ピンチ」「絶体絶命」という局面はありました。でも、そういう時、僕はワクワクするんです。問題が大きければ大きいほど、ビジネスの現場にいると「ラッキー」なんです。なぜか?ビジネスの世界には必ず競合他社、つまりライバルがいます。自分の会社がピンチということは、ライバル会社もピンチの可能性が高いわけです。つまり、そのピンチさえ乗り越えれば、ライバルが減る可能性もあります。だからキツイ時ほど、「ライバルと差をつけるチャンス」、「生き残りさえすれば明るい未来が待っている」と思っています。


― なるほど。。ピンチの時ほどワクワクするべきなんですね。。とても勉強になります笑。ところで、藤岡さんは経営者として世界中を飛び回り、想像を絶するぐらいお忙しい日々を過ごされていると思うのですが、現在、生活の拠点は一体どこにあるのでしょうか?

 仕事で各地を飛び回っているせいか、「今はここに住んでいる」という概念自体がなくなりましたね笑。飛行機は年間100回以上は乗っています。その時々で面白い場所に居られれば良い、という考え方になりました。おそらくリタイアしても、1か所に住むという発想はないと思います。
 現在はエキジビションや留学フェアなどで丁寧に人脈を作っていくことを大切にしています。やはりビジネスの世界では、そういう場所に会社の代表が自ら出向くのと、部下が行くのとでは意味が全然違ってきます。何が違うのかというと、相手がどんなに大きな会社であっても、僕が行けば絶対に社長が会ってくれるわけです。この差は大きいですね。

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― ありがとうございます。ここからはQQEnglishのサービスについて、少し質問させて下さい。QQEnglishが受講生に対して提供している最大の価値は何だと思いますか?

 現在、オンライン英会話のサービスを提供している企業は200社とも言われています。ただ、その他199社とQQEnglishとは、ビジネス・モデルが全く異なっているんですね。
 簡単に言うと、その他199社の多くは、「英語が話せるフィリピン人と英語を話したい日本人とのマッチング・サイト」なんです。これはスポーツジムのシステムと似ていて、「月額固定料金で利用し放題」というものなんですね。ただ、ジムと同じで、入会したてのころは毎日頑張るけど、途中から全然利用しないでお金だけ払う人もでてきます。そして会員をたくさん集めて、最終的には上場を目指す、というビジネス・モデルなんです。

 ただ、僕の目標は上場ではなく教育でした。「上場はしなくても良い」という考えで、とにかく「受講者が英語を話せるようになって欲しい」、という想いで活動しています。当初は収入も少なく厳しい時代もありました。でも徐々に大学なんかでもスピーキングが重視されるようになってきて、教育機関がQQEnglishを活用するケースも増えてきました。当初は中学生、高校生はゼロでしたが、今は拡大の一途をたどっています。それから、教える人が全員「きちんとした英語教師である」、という点もQQEnglishの1つの価値です。


― フィリピン人の英語教師を採用する際の基準はありますか?

 フィリピンには英会話学校がたくさんありますが、先生を全員正社員として採っているのはQQEnglishだけなんです。他の会社はパートとして雇っています。特に夏休みには大勢の日本人がフィリピンに来て英語を学ぶわけですが、夏が過ぎると留学生は激減します。そうすると、多くの会社では先生が一度クビになるわけです。そして忙しくなったら再雇用するという仕組みなんです。

 QQEnglishでは先生を全員正社員として採用しますので、生活が安定します。だから英語の教員免許を持っている人はみんな「QQEnglishで働きたい」と思うわけです。「フィリピン人は全員英語を話す」と思われていますが、なかには酷い発音の人もいますし、文法を間違える人もいます。ですので、きれいな発音と正しい文法を話す人材は限られています。でも雇用条件が良いので、QQEnglishから良い人材を採用できるんですね。それから、単に英語の発音や文法が正しいだけではなく、「教えたい!」という、教師としての強い熱意を持った人材だけを採用するようにしています。


― フィリピンの経済は急速に発展していますが、今後、先生たちの人件費が上昇してきた場合、どのように対応しますか。

 世界一高い英会話学校を作ろうと思っています。すでに今でも、時間単価は先生ごとに異なっていて、高い先生だと25分で1000円の先生もいます。人気が出れば、値段が高くても生徒はつくんですね。

 それから、フィリピンがいつまでも貧しい国であるように、などと望むべきではないと思っています。日本と同じように、フィリピン人たちも、経済の発展にともなって高い給料をもらう権利は当然あると考えているためです。もちろん、「フィリピンの人件費が向上したら他の国でビジネスをしよう」と考えたこともありました。ただ、さきほども申し上げたとおり、早い段階で「マン・ツー・マンの英会話はホスピタリティの精神があるフィリピン人だからこそ上手くいく」ということに気づいたんですね。だから今のところ、フィリピンでビジネスを展開させていくつもりです。
 余談ですが、これまでフィリピンと言えば「危険」「汚い」というイメージを強く持たれていました。ビジネスの現場では「汚職の国」というレッテルも貼られています。でも今のドゥテルテ大統領は、そういうイメージを克服すると公言しています。国の治安も少しずつ改善されていますし、昨年度の経済成長も7.2%と向上しました。現地にいても、今後フィリピンは変わるのではないかという期待が持てますね。


― 例えば人口の多い中国語やスペイン語など、英語以外の語学ビジネスに水平展開する予定はありますか。

 まずは英語教育のマーケットに資源を集中投下したいですね。なぜならば、僕はこのビジネスは大革命だと思っているからです。このビジネスのライバルを考えたとき、アメリカの企業はネットビジネスには強いけれども、英語学習者の気持ちは理解できないから脅威にはならないと思っています。ということは、中国と韓国に勝てれば日本企業は大きなチャンスを得ることができます。そして、できることならば自分がそのチャンスを手にしたいと思いました。ですので、いまは経営資源を英語教育に集中投下したいですね。そのために、バイク便とバイク屋のビジネスもすべてパートナーに譲ってしまいました。


― ビジネス上のライバルという話題がでましたが、今後、人工知能が発達し、コンピューターの翻訳・通訳能力が劇的に向上したとしても、英会話ビジネスの市場は残ると思いますか。

 たしかに、最近のGoogle翻訳の性能は凄く良いですね。でも、これと我々のビジネスは競合関係ではなく、実は補完的な関係だと思っています。翻訳を使って外国人に気軽に英語でメールを送れるようになる。そうすると、外国人に対する恐怖感も消え、より身近な存在になる。そうすれば、もっと英語で会話をしたい、と思う人も増えるのではないでしょうか。だからあまり悲観的にはなっていませんね。

 それから、仮に長期的に英会話ビジネスの市場が縮小したとしても、別のビジネスで勝負します。僕はフィリピンに「巨大な教師の塊」を持っており、教育サービスを提供してきた実績もあります。たとえばインターネットを用いたオンラインの教育を、「英語以外の分野」で提供することも可能です。世界中の人々に、英語を使って理科や社会といったコンテンツを教えるのです。「教育産業」の市場規模は「自動車産業」よりも大きく、世界全体で400兆円だそうです。将来、「マッチング・サイト」的な英会話ビジネスは消滅するかもしれないけれども、本当の教育ビジネスはさらに拡大すると思います。

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― ありがとうございます。最後に、私たちGCPの学生にメッセージを頂きたいと思います。まず、GCPという新しいプログラムのコンセプトを聞いて、どのように感じましたか。

 グローバル人材にとって必要な能力を高めるためには、できるだけ早く海外に出るべきです。とくに、高度経済成長を遂げている国の「熱気」を若いうちに肌で感じて欲しいです。僕は日本のバブル経済の時代を経験しました。経験したからこそ、無茶もするし、パワーもあるんです。でも若い世代の人は無茶をしない。なんでも「無難にやろう」とする人が多い。それではチャンスをつかめません。1日でも早く海外に出て、ほかのアジアの人々がいかに無茶しているか、その熱気を肌で感じて欲しいです。できれば20代前半までに。人生で一番力を発揮できる30代の勝負で勝つためには、20代前半から準備をする必要があると思います。
 ただ、海外に出るためにはそれなりの準備が必要です。英語に加えて柔軟な発想力、論理的な思考能力、説明能力なども必要です。GCPでは、そうした準備を行うためのカリキュラムが用意されていると思います。とにかく「早く準備をした者勝ち」なので、こういうプログラムに参加して早く海外に出て欲しいと思います。


― 藤岡さんが考える、グローバル人材に必要な能力・資質とは何ですか。

 とにかく早く海外に出る。そして無茶をしているアジアの人々の熱気を実際に感じ、視野を広げることです。海外にいくと、日常生活では起こり得ない想定外のことに対応する力も養われますからね。
 それから発言力です。発言できないと無視されるだけですからね、海外では。それから論理的に話ができなければ尊敬されません。僕の場合は社長の経験がありましたから、英語が苦手でも何とかなりましたが、大学生にはそれもありません。そうすると、やはり英語は大前提として、論理的に思考し、伝える能力も不可欠ですね。
 最後に、成功したいなら「みんながやらないこと」「やりたくないこと」を自ら率先して行うことが重要です。そういう所にこそ、実は一番おいしい旨味がたくさん詰まっているのです。


― 最後の質問になりますが、もしも学生時代に戻れるとしたら、何をしたいですか?やっておけば良かったと後悔していることはありますか?

 後悔はないですね。多分人生をやり直しても、また同じことをやると思います。もちろん失敗もしたし、もっと上手くビジネスをしたいと思ってはいるけれど、運に任せてやってきたわけではありませんので。僕は「人が8時間働くのであれば16時間はやれる」と考えてきました。他の人が「土日休む」とか「残業はしない」と言うときは「ラッキー!」と思っていましたね。みんなが辛いと思っているときこそ「やった者勝ち」なんです。だから土日も働きました。後悔したことは一度もないです。むしろ、苦労して今の地位を築き上げてきたので、これを繰り返すなんて嫌ですね笑。皆さんも是非、それぐらいの気持ちでこれからチャレンジをして欲しいと思います。


― 本日は大変有意義なお話をしていただき、本当にありがとうございました。

(取材班:総合政策学部1年 長尾真志・折橋彩華)

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