オリンピック・パラリンピック特集大会を医療面でサポート

   

宮国 泰彦医師

杏林大学病院救急科


長谷川 雅一医師

杏林大学病院整形外科


林 光俊医師

杏林大学病院整形外科



  

 五輪・パラリンピック大会期間中、各会場への来場者数は延べ1 千万人と予想されています。
付属病院はサッカー、近代五種、ラグビーの競技会場となる東京スタジアムに医師、看護師約50 名を協力・派遣し、観客の医療を担当します。
 このうち、東京スタジアムで観客対応の医療者と選手対応の医療者をまとめる“ 会場医療者統括責任者” という大役を務める高度救命救急センターの宮国泰彦医師、選手対応の医療者として、日本ラグビーフットボール協会の推薦を受けた長谷川雅一医師、バレーボール/ ビーチバレーボールに出場する選手の医療統括者として林光俊医師が活動します。

新しい医療体制つくる

救急科 宮国 泰彦

 会場医療者統括責任者として、東京スタジアム(調布市)の会場医療者統括責任者※(1)をします。任務は大きく分けると、会場内の医療スタッフの統括、救急搬送時の病院との連絡調整、会場と最寄り駅までの医療対応です。
 会場には各医療施設から派遣される医師・看護師・理学療法士などの医療スタッフと搬送を手伝うボランティアなど大勢のスタッフが配置されます。スタッフの役割と動きを頭に入れて指揮をとります。
 救急搬送者が出た場合は、大会指定病院や近隣の救急病院と連絡をとり、搬送の指示を出します。さらに、最寄り駅から会場までの道は、混雑が予想され、思わぬ事故が起こる可能性があります。この救護対応も業務の範囲です。

感染症やテロへの備え


 不特定多数の人が集まる場所では、感染症やテロ等への対策も必要です。
 大会に関係する医療者は、感染者の受け入れ訓練やテロ対策の止血帯の使い方などの研修を受けて備えています。
私は会場医療者統括責任者として、東京DMAT(災害時派遣医療チーム)の活動や大規模災害訓練などの経験から得たことや国内外の事例を確認するなどして、不測の事態が起きた場合の指示や行動パターンをいくつもシミュレーションして備えています。
 2020大会の医療分野の取り組みは、今後も大規模なイベントが多く開催される東京にとって大きな財産となるでしょう。今回、とてもやりがいのある仕事を任されたと思っています。

みやくに やすひこ:杏林大学医学部卒業。専門は救急・集中治療、消化器一般外科。日本救急医学会 救急科専門医、日本外科学会 外科専門医、日本集中治療医学会 集中治療専門医、東京DMAT 隊員・インストラクター、ICLSインストラクター、東京消防庁救急隊指導医、東京都難病指定医

競技選手をサポート


整形外科 長谷川 雅一

 私は、7月27日から8月1日まで東京スタジアムで行われる男女の7人制ラグビーの選手用メディカルスタッフ※(2)を務めます。8 月25 日に開幕するパラリンピックでは、新国立競技場で行われる陸上競技でも同様の任務を担います。
 具体的には、昨年のラグビーワールドカップ2019日本大会同様、今回も試合会場の医務室担当医としてピッチサイドに待機し、激しいタックルや転倒で出血、脳震盪、骨折などを起こした選手を速やかにフィールドから運び出し、応急処置を行います。
 大会直前には、怪我をした選手をピッチから搬送するなど実際の動きを行う研修も予定されています。
選手やチームが最高のパフォーマンスができるよう、W 杯の経験も活かしながらサポートしたいと思っています。


はせがわ まさいち:杏林大学医学部卒業。専門は脊椎・脊髄疾患、骨代謝疾患(骨粗鬆症)。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本整形外科学会スポーツ医、日本整形外科学会リウマチ医

8大会連続で医療サポートメンバーに


整形外科 林 光俊

 各国選手団の医療責任者として、今大会では、バレーボールに出場する全ての国の選手・役員約500名の医療統括者※(3)として任務にあたります。
 準備は3 年前よりオリパラ組織委員会としてきました。私と同じ役割をビーチバレーボールでは卒業生の今給黎直明医師が担当します。
 大会前までに、医療スタッフの確保、チーム研修の企画・実施、国際競技連盟との協議などを行います。
大会中は、会場で選手用医療の指揮・監督、会場医療責任者の補佐、救急搬送判断などを行います。

2020大会 多くの感動を期待


 4 年に一度の五輪は、出場するにも参加数制限がある“ 超狭き大会”です。選手はこの大会に人生をかけて臨んでいます。
 北京大会では、試合中に半月板を断裂した選手に麻酔を打ち出場させたことがありました。普段なら絶対にしませんが、必死に頼まれ、仕方なく処置しました。結局、試合中に麻酔が切れて飛べなくなり、ドクターストップをかけました。
 今大会も多くの感動の場面が繰り広げられ、皆さんにとっても一生の思い出になるでしょう。

はやし みつとし:杏林大学医学部卒業。専門は、バレーボール、テニス、アメリカンフットボール、トライアスロン、スキー、サッカー等におけるスポーツ障害。今大会では有明アリーナで男女バレーボール競技選手役員用医療統括者を務める。男子バレーボールのチームドクターとして1992年のバルセロナ大会から8大会連続で五輪に挑戦。本大会出場はバルセロナと北京の2回