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文明論から見た西欧(講演概要)

2016年10月28日(金)開催:杏林大学公開講演会

 外国語学部特任教授
 上野 景文
(専門:欧州論、文明文化論、宗教と政治、一神教vs多神教〈アニミズム〉論)




    ○講演概要
    「脱亜入欧」を強力に進めて来た日本、その近代化のモデルとなった「西欧」であるが、にもかかわらず、その文明的真髄についての日本における認識は、とても低い。ひとつには、「西洋文明」と言うと、まず米国を思い描くからであろう。そこで、国内ではあまり語られることのない視点から、「西欧文明」の中核に迫ってみよう。
    先ず2点前置きする。先ず第1に、「西」と「東」の間には、文明論的な「非対称性」が存在する。早い話、西欧人が自らについて語る際、日本に言及する必要はない。これに対し、日本人が現代の日本について語る場合、西欧(から導入したもの)に言及しない訳にはゆかない。第2は、それでは、「脱亜入欧」はどの程度達成したかと言う点。近代的制度や科学技術の導入面ではほぼ達成したが、他方、精神的な領域、「魂」に関わる面では、「脱亜」も「入欧」も、進まなかった。供養の精神のような伝来的な「日本」はまだ残っている。つまり、「脱亜入欧」達成度は、トータルで見て、80%にとどまる。

    以上を踏まえ、2点話す。第1は、西欧の「世界標準」へのこだわり。早い話、

    ノーベル賞、オリンピック、世界遺産、ミシェランなどに代表される「世界的スーパーブランド認定装置」の多くは、西欧が創った。それらを巡っては、「日本(人)が対象となるか」を巡り、毎年マスコミが「過熱報道」を繰り返し、多くの国民がドキドキハラハラさせられる。日本では、これらの事例をバラバラに論じることはあっても、トータルに論じる人はいない。しかし、全体像に迫らずして、文明は語れない。ここからが肝腎なところだ。物理学の「聖人」、棒高跳びの「聖人」、さらには、文化的、歴史的「聖地」を「認定」するという諸々の営み、どこかで見たことはないか?そう、2000年近くにわたり宗教上の「聖人」を「認定」して来たローマ法王の営みにそっくりではないか。これら装置は、西欧が創り上げた「世界標準」システムの典型的成功事例なのだ。

    ほかにも、西欧が「世界標準」創りに強いこだわりを示す事例は沢山ある。中でも、かれらが世界標準に格上げしたがっている西欧的標準としての「動物権」尊重は、要注意だ。この点が、お話ししたい第2点目だ。補鯨禁止を含め、「動物を殺す」ことを極力抑えるべきだと言うかれらの思想は、多数の「EU指令」を通して、既に西欧標準となっている。が、かれらは、それに満足せず、世界標準化を目指して、国際世論への働きかけを強めている。日本では、この点についての認識も、恐ろしく低い。

    以上、「西欧の文明力」、「今日なお侮りがたき西欧」の一端を紹介した。




    2016年10月28日(金)『文明論から見た西欧』
    杏林大学外国語学部
    特任教授 上野 景文


    杏林大学 広報・企画調査室




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