「句切り」「への字型イントネーション」を基本とした,誰でもできる,分かりやすいイントネーション,アクセントの指導法を紹介しています。
聞きやすく分かりやすい発音の指導として,「句切り」「への字型イントネーション」に焦点を置いた指導法です。基本のステップは3つです。
(1)意味のまとまりで句切り(=図の③。「/」や「//」のところ。),
(2)句切り(フレーズ)のところでゆっくり休み,
(3)句切りと句切りの間を「へ」の字で発音。(=図の②。最初に上がって, 段々,下がるイントネーシ ョン=「へ」の字型イントネーション)
(『初級文型でできるにほんご発音アクティビティ』より)
(1)そのスピーチ,相手に伝わっていますか?
☞スピーチでは,まずは相手に自分の言いたいことを伝える必要があります。しかし,例えば左のような文章をだらだらと,休みなく,読むとどうでしょうか。
☞特に,単音の発音も正確ではない日本語学習者がだらだらと句切りもなく読むと,聞き手には伝わりにくく,聞いていて疲れるスピーチになってしまいます。
(2)フレージング指導法で,伝わりやすいスピーチに!
☞そんなとき,フレージング指導法を用い,意味のまとまりで句切り(例の/や//)を入れて,句切りと句切りの間をはっきりと「へ」の字にするだけで,驚くほど伝わりやすくなります。
(『さらに進んだスピーチ・プレゼンのための日本語発音練習帳』より)
(『会話とスピーチの発音5・6』より)
Q1:テキストのイントネーションカーブと私のイントネーションは違うような気がするのですが,どうしたらいいでしょうか。
A:イントネーションは話し手の意図を表すものです。ですから,アクセントなどのように,ある程度決まったものとは少し違うかもしれません。話し手の話す速さや,伝えたい意味内容によって,句切るところが違うと違うイントネーションになることもあるはずです。学習者にある程度中立的な話し方を示す必要があるので,テキストには一つのイントネーションカーブを示しましたが,違っていてもいいと思います。余裕があるなら,私の話し方ではこうだけど,どう聞こえる?と話し合いながらクラス活動が進められると楽しいですね。
Q2:句切り方が違うのですが…。
A:話す速さによって,違います。速い人は長いフレーズに,遅い人は短いフレーズになることがあります。初級の人は短く,上級の人はある程度長くといった具合に,学習者のレベルによって柔軟に変えましょう。ただし,あまり長いフレーズは不安定になります。レベルによっても違いますが,留学生の場合はせいぜい15拍ぐらいまでの長さにすると,聞きやすいイントネーションになります。