中竹 俊彦
リンパ球を追う(シリーズ200)リンパ球の世界(II)‐リンパ球の本質に迫る(前書き)
リンパ球の世界(II)
‐リンパ球の本質に迫る‐
杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦
<前書き>
前回の解説(シリーズ100)「リンパ球の世界(その1):東京都臨床検査技師会・血液検査研修会、平成17年4月21日、於:順天堂大学)では、−リンパ球の核心に触れる−と題して述べました。以下に、そのときの見出し語のみを再掲しますと、
1‐1.リンパ球と核小体
1‐2.核小体の意義
1‐3.核小体保持の意義
1‐4.1個の核小体の意味
1‐5.1個の核小体の機能
1‐6.複数、大型核小体の出現
1‐7.形質細胞に核小体は?
などについて述べました。そしていずれの見出し語でも、「核の中心」そのもの、すなわち、核心=核小体というものは、リンパ球(または、系)にとってどのような意義があるのか、スライドで細胞画像を提示しながらそれらの所見を通して問題点を考えてみました。
じつは、リンパ球という名称で一括すると問題があることについは後で触れますが、リンパ球とはいかにも一種類の細胞の集まり(つまり、リンパ球群)であるかのような誤解を生じていることから解説に入ります。
例えば赤血球、血小板、好中球などは系統としてみると、3系統はそれぞれの系統内では、特性がみな同じ血球種類です。
ところが一方、リンパ球(群)は、それら骨髄系とは著しく異なっています。リンパ球は、個々の細胞が全く機能的に異なっていることが分かってきましたから、私達のリンパ球観察のうえでの概念も再検討が必要です。
リンパ球は細胞学的に特徴が少ない(要するに、形態が同じように見えてしまう)ものではあっても、それらのリンパ球が異なった日齢(経過日数)、異なった特性(T、B、NK)、働きの違い(ヘルパー、サプレッサ−など)、寿命の違うもの(短命/長命リンパ球)、再循環リンパ球などの概念があることを念頭において今一度、基本形態から見直す必要があると思います。
そこで、平成17年4月28日、於:順天堂大学)では、リンパ球の世界(その2)−リンパ球の本質に迫る−と題して、以下の内容を述べました。 ここでは、そのリンパ球群の本質について述べていきます。
体裁
B5版(本文 305頁)
目次(序論・1〜24まで9頁)
索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)
(頒布いたします)
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