中竹俊彦

リンパ球を追う(シリーズ300-B)リンパ球の世界(3-B) リンパ球をどうみるかリンパ球の質的・量的な反応性変化‐(前書き)

リンパ球の世界(III-B

 リンパ球をどうみるか‐リンパ球の質的・量的な反応性変化−

                          杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

前書き

 ウイルス感染症で反応性に増加したリンパ球の中には、EBV感染症などでみられる「異型リンパ球」の問題があります。私たちは、最初に標本で「リンパ球の変化」を指摘するとき、リンパ球の「何」に注目すればよいのでしょうか。

 一方、反応性変化の質的、量的な追跡はflow cytometry(FCM)で自動的に「活性化リンパ球数細胞質 interferon-γ」などでチェック可能になりました。今後、私たちは顕微鏡所見でどんな情報をつかみ、発信可能か考えてみましょう。

 本稿で事実を記述するだけでは、読者にその事実を追跡しようという気持ちを想起してもらえないと思い、私は事実と背景への考察を述べることを心掛けました。私がこの表題で依頼者からいただいたときには「反応性リンパ球」を先頭に冠していたので、すでに「反応性の変化を含んでいる」という関係になります。

 表題末尾の「量的・質的異常」というのは、リンパ球が刺激され形態が変わってしまう何らかの異常という、平常に対応する意味です。 例えば、リンパ球に大きな核小体がみえると形態に異常があるということになるのですが、「リンパ球に何が起こって生じた異常所見なのか」、あるいはまた、「ヘモグラムの全体像からはウイルスが原因らしい」というような考え方の背景を知っていただけると幸いです。

 臨床的にもウイルスが問題ならば、検査は次段階へと進むはずです。場合によってはスクリーニングの結果、どの症例にウイルス検査が必要か、あるいは細胞の遺伝子検査が必要かという最初の決定に関わる重要なポイントになり得ます。

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

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