リンパ球を追う(シリーズV

リンパ球の世界(V)

 リンパ球系の核小体形成体・AgNOR

     AgNOR染色した画像への解説

8.AgNORの参考画像:巨核球の核(画像No.003→提示画像8)

                        杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 骨髄の巨核球系は、幼若な段階(巨核芽球、著者の観察では非常にまれに前巨核球)において、特徴的な核内での核分裂機構(endomitosis)を繰り返すことによって、核の倍数性を8〜32N(必要なときには、64Nまでも)大きくすることがあるとされています。巨核球系のマイトーシス像を入手することは難しいのですが、提示した巨核球の核内分裂像の画像は一見の価値があります。

 核膜が再構成される段階になると、合理的にまとまり、巨大な1個の核として「変形を伴った核」や「よじれた核」となって整ってくる機構が備わっているようです。

 また、参考までに、NORシリーズで先のリンパ球系と同一標本から巨核球の核のAgNORを画像で下の段に提示します。

 画面中央は、成熟が進んだ巨核球の核の部分です。画面いっぱいがほぼ細胞質です。NORは当然のことながら核の倍数性と比例的に多数存在していますが、それぞれのAgNOR自体がすべて小さく、もはや活動していないので、核小体として集合している像は指摘できない状態です。

 このAgNORシリーズで提示した画像を振り返ってみて、造血3系統のAgNOR所見を参考にすると、核のクロマチンが不活化されていくときNORがどのように濃縮し小型化していくのか、そして細胞の核の成熟を意味したクロマチン所見が理解できると思います。さて、AgNORヘの自問自答の結論はいかがでしょう。

 巨核球は核の倍数性増加を反映して、AgNORがどのように存在するか、また一方、赤芽球系ではどうだろうか好中球系ではどうだろうか、という所見が参考として必要でしょう。

 さて、MM症例でみてきたような腫瘍化した形質細胞においては、AgNOR所見はどのように経緯を追って観察していけるのか、興味が湧きませんか?

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

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