重要なポイント(シリーズ620-1-3

 ‐赤血球,好中球,血小板の形態から骨髄像までを見通す予備知識‐

 「重要なポイントではどのように細胞をみたり考えたりするか」

                 杏林大学保健学部 臨床血液学(教授) 中竹 俊彦

 この解説の次に,パワーポイント(シリーズ620)をご参照ください.特殊染色は(シリーズ630)に提示しています。

シリーズ620-1-3

I-1.正常な形態1)とはどういうことなのか,細胞を通じて知る

その目的達成にはまず,

I-1-1)正常な好中球(分節核好中球)は,骨髄芽球からどのような成熟過程を経ているのかを知る

 これは文字の上での暗記で済むことではありません.この経緯は詳細に細胞学的に理解し,異形成の詳細も説明可能にしなければなりません.

 それは例えば,定型的な好中球は15μmの細胞直径がいかに細胞学的に厳密に規制されているのかということです.成熟好中球は13μmでは炎症を背景に萎縮像の大きさで病的原因があり,16μm以上では細胞学的に巨赤芽球系と同列に議論すべきで異常です.

 教科書の範囲ではこの「大きさの違いの問題点」を十分に説明してくれません.さらに,細胞質はきれいに揃った中性好性(好中性)顆粒が,細胞質いっぱいに保持されていく形態へどのようにして到達できるのかということです.

 細胞の大きさと核分節の数,そして顆粒の過不足などは,正常な好中球の形態を決定づけます.それなのに,初学者は好中球系を「なんとなく理解」し「漫然と見てきた」だけでは,好中球の形態異常(異形成)を言葉で説明できそうにないのです.

 多くの初学者が好中球系の形態さえも「13μmや16μmの臨床的意義の違いを言葉で説明する責任」を実感できている必要があると,私は日ごろから考えています.これは赤血球系についても,また巨核球・血小板系についても同様なことがいえます.

 その上で,初学者といえども,最初から心がけておくことは以下のことです.

 文献

(参考資料)

1.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(1)

2.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(2)‐リンパ球を追う‐

3.中竹俊彦:マルクマスター,ブラストマスター(ともに,CD-ROM教材)

 上記の問合せ先:中竹 俊彦

杏林大学保健学部 臨床血液学 中竹俊彦(042-691-0011内線4305,4308)

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<教材の御案内>

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

入手方法の問い合わせ( nakatake@kdt.biglobe.ne.jp )半角アットマークで可能です。