重要なポイント(シリーズ630-2-1.sp.st.tech1〜7)
実技編
「詳細解説・特殊染色の方法とその読み方」
杏林大学保健学部 臨床血液学(教授) 中竹 俊彦
この解説の次に,パワーポイントで特殊染色は(シリーズ630)に提示しています。
シリーズ630-2-4.NAP
IV.アルカリホスファターゼ(NAP)染色
IV-1.染色の方法
アルカリホスファターゼalkaline phosphataseは,主として成熟好中球の細胞質に含まれ,好中球アルカリホスファターゼneutrophil alkaline phosphatase(NAP)と呼ばれ,その活性は各種の病気によって増減します.
我が国では専ら,朝長法が用いられています.基質として,ナフトールAS-MXホスフェート,ジアゾニウム塩としてファーストブルーRR塩を用い,後者はナフトールと化合して青色のアゾ色素となって発色するのでアゾ色素法と呼ばれます.
アルホス染色キット ムトー(武藤化学製品)の使用法
1)標本作製後,30分以内に,固定準備液10mlにメチルアルコール90mlを加えた固定液で−3℃〜−5℃,5秒間固定(前以て固定液をフリーザ中で冷却).
2)流水で15〜30秒水洗,乾燥.
3)基質原液10mlをバイアル瓶に入れFast Blue RR Saltをよく振り超音波浴に入れて溶解.
4)直ちに3)の液で塗抹面を覆い,湿潤状態,フラン器内で37℃2時間染色.
5)十分に水洗して1%サフラニン0で後染色2分,水洗,乾燥.
(注)
1)乾燥不十分の場合は塗抹がはがれやすい.
2)基質原液とFast Blue RR Saltの混合液は時間経過と共に低下する.
3)固定準備液は室温保存する.また沈殿が生じていたら温めて溶解してからメチルアルコールを加える.
4)キシロール等では陽性顆粒が脱色する.
IV-2.NAP染色の陽性度(0型〜V型まで)の読み方
上の図式に沿って,成熟好中球の陽性度を5型に分類します.少なくとも100個の成熟好中球を観察し,NAPの陽性度を次のように表現します.
1)陽性率(rate):陽性好中球(I〜V型)の百分率(%)
2)陽性指数(スコア score):100個の好中球について,各型好中球数とその点数の積の総和.陽性指数=(0×0型の個数)+(1×I 型の個数)+(2×II 型の個数)+(3×III 型の個数)+(4×IV 型の個数)+(5×V 型の個数)
基準値
陽性率
男子 85.2%(60.6〜99.5) 女子 88.6%(67.5〜99.5)
陽性指数 (スコア)
男子 210(150〜330) 女子 250(150〜330)
(注)陽性の判定には主観・手技が影響するので,基準値の範囲は検査室ごとに決めておく必要がある.
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文献
(参考資料)
1.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(1)
2.中竹俊彦:骨髄像の解析と表現法(2)‐リンパ球を追う‐
3.中竹俊彦:マルクマスター,ブラストマスター(ともに,CD-ROM教材)
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体裁
B5版(本文 305頁)
目次(序論・1〜24まで9頁)
索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)
(頒布いたします)
入手方法の問い合わせ( nakatake@kdt.biglobe.ne.jp )半角アットマークで可能です。