1 白血病由来の株細胞
細胞培養に関心があれば,図に示したような白血病患者から樹立された株細胞であるHL−60細胞などを入手して,継代培養することができる(図1).
この細胞は前骨髄球性白血病の患者に由来し,株細胞になった段階では骨髄芽球と何ら変わらない芽球の形態を示す.アズール顆粒がなく,ペルオキシダーゼ反応も陰性である(図2a,b).もちろん,エステラーゼ二重染色も陰性である(図3).
2 芽球から前骨髄球への分化
骨髄の好中球系はペルオキシダ−ゼ反応陽性であるが,この酵素は前骨髄球の段階で合成されるだけで,細胞分裂して次の骨髄球になると合成そのものは行われていない.その代わり,別の酵素や成分が合成され,二次顆粒(特異顆粒)をもつようになるのが知られている.つまり,顆粒球系の最初の顆粒ができたとき一次顆粒と呼ばれ,細胞分裂して骨髄球になってから産生されたのは二次顆粒で,成分が異なる.
このように細胞分裂を境目にして,次の段階の特質を獲得し発現することは細胞の分化である.好中球系の二次顆粒を特殊顆粒(または特異顆粒)とも呼び,特に血液学では染色性から好中性顆粒と呼ぶ習慣がある.好中球の名の由来である.これが分化の最終段楷の産物とみてよい.もちろんこの段階ではグリコゲン粒子など,他にも産物はある.
一次顆粒にはペルオキシダ−ゼのほか,エステラーゼ,β一グルクロニダ−ゼ,酸ホスファターゼなども含まれる.
|