さて,他にもHL-60細胞の分化能を誘導できる化学物質がある.今度は,HL−60細胞を最初にphorbol myristate acetate:PMAで弱く刺激すると,細胞の一部では単球系への誘導が起こってくる(図10).
前骨髄球よりもアズール顆粒は微細で,数も少ない.このときペルオキシダーゼ反応も前骨髄球よりは弱い(図11).
PAS染色では小さい明瞭な顆粒状の陽性像が認められるようになる(図12).
エステラーゼ二重染色では単球系の特徴であるαナフチルブチレートを基質に反応する非特異的エステラーゼの赤褐色陽性所見が著明になっている(図13).
このようにみてくると,細胞刺激の性質によっては,誘導されてくる結果が異なる.生体では細菌感染症で好中球アルカリホスファターゼ活性が高値になったり,また,顆粒球系コロニー刺激因子(G−CSF)の投与によって著明なアズール顆粒の増加がみられることなどにも関連して,興味深い現象である.
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